登記の手続き

 登記は本人でできないこともありませんが、やはり専門家(司法書士・土地家屋調査士)に頼むのが無難でしょう。専門家に依頼する前に、登記の基本的ノウハウやだいたいの手続を知っておくことも大切です。
 不動産登記の申請は、その不動産の所在地を管轄する登記所に申請書を提出して行いますが、その手続にはいくつかの原則と例外があります。

スポンサーリンク

 登記は原則として、所有名義人または当事者の申請(嘱託)がなければ手続きが進行しません (不登法二五条)、ただし、不動産の表示に関する登記は、登記官が職権ですることもできるとされています(同法二五条ノニ)。
 権利に関する登記は、必ず登記所に出頭して申請書を提出しなければなりません(これに対して、不動産の表示に関する登記は郵便でも差し支えありません。不登法二六条一項、二項)。さらに、売買による所有権移転、抵当権設定の登記のように、売主と買主、抵当権者と設定者(所有者)という関係でその登記によって利益を受ける「登記権利者」(買主や抵当権者)と不利益を受ける「登記義務者」(売主や設定者)がある場合には、必ず共同で申請しなければなりません。
 もっとも、例えば、実体上売買によって所有権が移転しているにもかかわらず、売主である登記義務者がその登記の申請手続きに協力しない場合には、買主は売主を相手どって「登記手続きをせよ」とのいわゆる給付判決を得て、その正本を添付して単独で申請をすることも可能です(二七条)。
 また、相続による所有権移転の登記や登記名義人が住所、氏名を変更した場合の登記名義人の表示の変更登記も、権利に関する登記ですが相対立する当事者はありませんから、相続人や登記名義人の単独申請で手続きできます(このような場合は、相続を証する書面や名義人の住所・氏名の変更を証する書面のように特別の添付書類が必要です)。
 なお、登記は、公示制度として取引の安全を図るためのものですから、当然に実体関係と合致しなければならたい使命をもつものです。したがって、その手続きも添付書類などについて厳格に規程されているので、一般には申請の代理を司法書士や土地家屋調査士に依頼することが多いようです。
 登記申請手続きは、前項で説明しましたように登記制度の使命を実現するために、各種の書面の提出を要求し、その真正担保を期することとしています。これらの法令で定められた書面の内容は、すべて登記宮の審査の対象となるので(登記申請の却下事由を定めた不登法四九条参照)、十分慎重に吟味しなければなりません。
(1)登記申請書(不登法三五条一項一号)
 申請書に記載する事項は、登記の種類によってそれぞれ違いますから、自分で作成しようとするとぎには、登記所に備付けの典型的な事例の書式集を参考にするのも一つの方法です。一般的な記載事項としては、不登法三六条に規定されていますが、登記の種類や目的などによって、それぞれ追加的に特別に必要とされる記載事項(例えば、抵当権設定の場合には、同法一一七条に規定する「債権額」など)があります。
(2)登記原因証書または申請書副本(不登法三三条一項二号、四〇条)。
 例えば、売買による所有権移転登記の申請の場合の売買契約書、抵当権設定登記の抵当権設定契約書のように、登記の原因を明らかにする証書があればこれを添付し、かりにこのような書面が初めから作られていなかったり、提出することができない場合、または表示に関する登記のように事柄の性質上そのような書面があり得ない場合には、申請書の副本を添付しなければなりません。なお、これらの書面は、その登記がなされたときには、登記所から「登記済」の記載をされて申請人に返され、以後重要な登記済証として扱われます。
(3)権利に関する登記済証(不登法三五条一項三号)
 一般に「権利証」といわれるもので、権利に関する登記を共同で申請する場合には、その登記によって不利益を受ける登記義務者の本人の意思を確認する意味のもので極めて大切な添付書面です。例えば。A名義の不動産につき、Bへの所有権移転または抵当権設定の登記を申請する場には、目的不動産をAが取得したときに、Aが登記所から「登記済」として還付を受けた書面です。
 なお、もし、権利証を紛失したり(登記所では再交付しません)して提出できないときは、権利証の代わりに、同じ登記所で登記を受けたことのある成人二人以上が「登記義務者に間違いない」ことを保証した書面を、その二人の印鑑証明書を添えて提出しなければなりません(不登法四四条)。
(4)第三者の許可書等(不登法三五条一項四号)
 例えば、農地の売買などによる所有権移転(農地法三条・五条)、取締役が会社財産を取得する所有権移転など(商法二六五条)のように、第三者の許可等がなければその取引行為が無効または取消される可能性がある場合には、不完全な権利変動を登記することによって登記を信頼した者の利益を害するおそれがありますから、このような場合が法令上明らかなときは、許可などがあったことを証する書面を添付しなければなりません。
(5)代理権限証書(不登法二五条一項五号)
 例えば、司法書士や土地家屋調査士に依頼するときのように、任意に他人に委任して登記申請をする場合の「委任状」、親権者が未成年者を代理するような法定代理の場合の「戸籍謄本」、会社その他の法人が申請人の場合の代表者の資格を証する「商業法人登記簿の謄本」などが代理権証書といわれているものです。これらの代理人によって登記の申請をする場合には、添付書類として必ず提出しなければたりません。
(6)印鑑証明書(不登法細則四二条など)
 所有権の登記名義人が登記義務者(例えば、売主、抵当権設定者)として登記の申請をする場合や、土地、建物の合筆もしくは合併の登記を申請する場合には、その者の印鑑証明書(発行後三ヵ月以内のもの)を添付しなければなりません。
 その他、有効期間の制約はありませんが、各種の承諾書(不登法三五条一項四号、同五六条、同一四六条等)、相続を証する書面としての遺産分割協議書など法令上の添付書面がいわゆる私文書の場合の多くには、実務上その真正を担保する意味で作成者の印鑑証明書の提出を要するとされています。
(7)住所証明書(不登法細則四一条、四三条)
 例えば、建物の新築などの場合のような不動産の表示の登記または所有権の保存、移転の登記を申請する場合には、所有権の登記名義人の住所が正しく登記されるようにその者の住所証明書(市区町村長発行の住民票の写し、登記名義人が法人である場合には、登記所発行の登記簿謄本など)を添付しなければなりません。
 また、所有者や抵当権者などが住所を変更した場合の登記名義人の表示の変更登記の場合には、その変更を証する書面として住所証明書を添付しなければならないことがあります。
(8)その他の書類
 登記の種類などによって、特別の書類の提出が必要とたることがあります。例えば、相続による所有権移転の場合の「相続を証する書面」(不登法四一条)としての戸籍謄本、遺産分割協議書、特別受益証明書など、同一の債権を担保するため数個の不動産の上に抵当権を設定した場合の「共同担保目録」(不登法一二二条)などがあります。さらに、土地を分筆した場合の「地積測量図」(不登法八一条ノニの二項)、建物を新築した場合の「建物図面、各階平面図」(不登法九三条二項)のように、表示に関する登記の申請には、図面の添付が必要とされる場合が少なくありません。
 これらの図面は、登記簿の附属書類として一般に公開される性質のものですから、様式、記載方法などが法令上厳格に規定されており、そのため、実際に土地や建物を測量・調査した上で、その結果を正しく製図して作成しなければなりません。このように、専門的知識と技術を要するため、表示に関する登記の申請手続きは、土地家屋調査士に依頼することが多いようです。

冠婚葬祭
借地借家と法律/ 賃貸借契約の実際/ 借地・借家の期間・更新/ 貸主借主の交替/ 賃料の決定と値上げ/ 借地・借家権の消滅原因/ 売場・店舗の賃貸/ 社宅契約と立退/ 借地・借家権の相続/ 借地・借家紛争の解決/ 不動産取引の基礎知識/ 売買契約を結ぶ前に/ 売買物件の調査及びその価格評価/ 契約書の作成/ 売買契約の締結/ 特殊な不動産の売買/ 分譲マンション/ 分譲マンション購入の事前調査/ マンションの売買契約の締結/ マンションの所有関係/ 欠陥マンションの問題/ マンション管理の法律/ 管理組合と規約/ 共用部分の管理/ 公営・公団住宅/ 公営住宅の申込み/ 公団住宅の申込から入居/ 公営住宅の相談/ 公団住宅の相談/ 新築・増改築の手続き/ 新築プラン/ 建築請負契約の締結/ 工事紛争の解決法/ 宅地に対する規制/ 家に対する規制/ 住宅ローン/ 住宅ローンの利用手続き/ 住宅ローン相談/ 区画整理とその対策/ 土地収用とその対策/ 不動産取引業者の知識/ 登記の効力/ 登記の手続き/ いろいろな登記の実際/ 身近な紛争の解決/ 境界の問題/ 越境したままの建物/ 建築中の越境建物/ 公図と境界が違っている/ 公図は正確か/ 隣りの庭木の枝や根が越境している場合/ 塀の設置について/ 塀の保存と修繕の費用/ 境界の土留工事の費用/ 道路の問題/ 改築における通行権/ 通行地役権の時効取得/ 民法と建築基準法の規定/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク