登記の効力

 家を建てたりすると、まず登記をしなければなりません。これは、誰でも知っていることです。ところで、「あのとき登記をしなかったばかりに大事な不動産を手放さざるを得なかった」という体験談をよく耳にします。不動産登記の法律知識は、身近な問題でありながら、意外に知られていないようです。

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 不動産登記制度とは、個々の土地及び建物に関する権利関係を第三者から認識できるように登記簿に公示し、不動産を目的とする取引の安全と円滑をはかろうとする制度です。登記簿のもつ機能から、権利の主体、権利の種類・内容の他、その権利の移転・変更などについて公示する「権利に関する登記」と、権利の客体である不動産の物理的状況を明確にする「表示に関する登記」に大別されます(不登法一条)。
 例えば、ある土地の取引をする場合に、具体的にどこのどのような土地(所在・地番・地目・面積など)かを特定する必要があります。また、その土地が真に相手方の名義であり、第三者の権利(抵当権など)がないかどうか事前に調査する必要も生じます。そのためには、これを具体的に公示したもの(登記簿)がないと、安全かつ円滑な取引が期待できないことになります。
 登記制度を運用する国家の機関を「登記所」といい、登記所は、職務上独立した権限をもつ一人ないし数人の「登記官」によって構成されています。このように、不動産に関する登記事務は、不動産の所在地を管轄する法務局もしくは地方法務局、またはその支局もしくは出張所が「管轄登記所として取り扱っており、全国に一二〇〇の登記所があります。
 不動産に関する物権の得喪および変更は、不動産登記法の定めるところにしたがって、その登記をしないと、これをもって第三者に対抗することができないとされています(民法一七七条)。
 例えば、不動産の所有者Aが不動産をBに譲渡したが、その登記を終了する前にAが同一不動産をCに二重譲渡し、Cが先に所有権移転の登記を受けたとすると、Bは先にAから不動産の譲渡を受けたにもかかわらず、Cに対して自己の所有権を主張すること(対抗力)ができず、CはAがBに対して所有権を移転した後にAから不動産の譲渡を受けたにもかかわらず、先に所有権移転の登記をすることによって完全な所有権者となり、Bに対して自己の所有権を対抗することができます。
 登記は、受付番号の順序にしたがって実行され(不登法四八条)、そのつどそれぞれ順位番号が付されますが(同法五二条)、同一の不動産を目的とする数個の権利の登記がある場合には、これらの権利相互間の優先劣後の関係を決定するため、「権利ノ順位ハ登記ノ前後二依ル」として、登記の前後は「登記用紙中間区二為シタル登記二付テハ順位番号二依り別区二為シタル登記二付テハ受附番号二依ル」旨規定されています(不登法六条)。
 例えば、乙区用紙の順位一番と二番の二つの抵当権の登記がある場合のそれぞれの優先弁済権は、先順位の一番の抵当権者が優先することになるし、また、抵当権などの登記より先に差押えの登記が受理・登記されている場合に、当該不動産が競落によって所有権が第三者に移転したときは、差押えの登記後にされた抵当権者などは、競落人にその権利を対抗できないこととなります。
 なお、民法一七七条の「第三者」(前例ではC)が善意か(同一不動産をAがBに譲渡していることを知っていたか)どうかは問わないとするのが判例の態度です。
 しかし、不動産登記法は、その例外として詐欺または強迫によってCがBの登記を妨害したような場合には、Bは、Cの登記の有無にかかわらず自己の所有権を主張することができるとしているので(四条、五条参照)、判例上そのような不法行為者に近い「背信的悪意者」である場合にも(Cが)正当な利益を有する者ではないとして対抗力が否定される場合があります。
 もっとも、わが国の登記制度上は、登記を信頼した者はたとえその登記が実体上の権利関係をともなわないものであっても保護されるか(登記に「公言力」があるか)という問題もあるので注意を要します。
 例えば、A所有の不動産につき、BがAの白紙委任状を悪用してB名義に所有権移転登記をなし、Cがその登記を信頼してBから買受けたとしてもAからBへの登記が全く鼓動である以上はCの登記も無効といわざるをえないということです。
 したがって、不動産を取引する場合は登記簿による調査も当然必要ですが、相手方の信用調査なども十分行う必要があるという点に注意すべきでしょう。
 また、「建物保護二関スル法律」によれば、建物の所有を目的とする借地権(地上権または賃借権)は、その建物が登記されていれば借地権の登記が土地の登記簿にされてなくても第三者に対抗することができるとされている(同法「条)ので、土地の取引について、現地の調査や建物登記簿をみないまま進めることは危険をともなうものといえます。

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