宅地に対する規制

 街づくりの基本的なことがらは、都市計画で定められます。その都市計画の内容の一つが、市街化区域と市街化調整区域です。市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域およびおおむね一〇年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域、一方、市街化調査区域とは、市街化を抑制すべき区域です。

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 ですから、市街化調整区域では、個人がばらばらに住宅を建てることは原則として認められていませんので、注意を要します。ただ、市街化調整区域内においても、都市計画法による開発許可を受け、工事完了公告がなされた場合には、住宅を建てることができます。また、住宅を建てるために買っておいた土地が都市計画の変更などで、市街化調整区域に編入された場合でも、六ヵ月以内に都道府県知事に届け出をしておき、開発許可を得れば、五年以内であれば住宅を建てることができます。
 開発許可を受けて造成された住宅を買う場合には、工事完了公告がなされているかどうか、あるいは宅地に付されている制限の内容などを知るために、都道府県の土木事務所などに備えてある開発登録簿を見ることを忘れないようにしましょう。
 そのほかにも、のちほど説明しますように、いろいろな内容の都市計画が定められていますが、これらは都道府県や市町村の事務所で見ることができますから、自分の土地やこれから買おうとしている土地、あるいはその周辺にどのような内容の都市計画が定められているかを、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
 宅地造成にともない、がけくずれや土砂の流出を生ずるおそれのいちじるしい区域には、宅地造成工事規制区域の指定がなされます。この区域においては、宅地造成に関する工事を行う前に、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
 この許可を受けるに当たっては、擁壁や排水施設の設置などについて災害を防止するために必要な措置がとられているかどうかのチェックが行われます。また、高さ五対以上の擁壁や一五〇〇平方対以上の造成地の排水施設の工事の設計は、一定の資格のある者しかできないごとになっています。
 さらに、この区域内では、危険な状態にある宅地について、その所有者などに都道府県知事から、その改善の勧告や命令が出されます。
 がけ崩れによる災害の未然防止を図るために、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律という法律によって、急傾斜地崩壊危険区域が指定されています。この危険区域は、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊によりかなりの数の居住者などに危険が生ずるおそれのあるものと、これに隣接する土地で、都道府県知事によって指定されます。この危険区域の指定があると、都道府県の公報に掲載され、また現地に標識が設置されます。
 この区域では、原則として建物を建てたり、切土、盛土、掘さくなどをすることは禁止され、例外的に都道府県知事の許可を受けた場合にのみ許されます。
 また、がけ崩れによる危険を防ぐために必要な場合には、都道府県知事から、家屋の移転、擁壁の設置などの措置をとるよう勧告を受けることもあります。
 建築基準法という法律では、建物の敷地は、原則として四メートル以上の幅がある道路に二メートル以上接しなければならないものと定められています。したがって、通路状の敷地により道路に接する敷地(いわゆる旗竿敷地)では、その通路状の部分の幅員がニメートル以上なければなりません。
 建物にとって道路は、出入りのために必要であると同時に、災害時の避難のため、あるいは火事の際に消防車が入るためにも必要です。そのためには、道路は一定以上の幅がなくてはなりません。そこで、建築基準法ではこのような定めをしているわけです。
 これは、建物の敷地の接道義務と呼ばれており、都市計画区域内の建物の敷地には、すべてこの接道義務が課せられています。
 また、場所によっては、条例で、階数が三以上の建物や延べ面積が一〇〇〇平方メートル以上の建物などの敷地について、さらに厳しい接道義務が課されている場合がありますから、都道府県や市町村の建築担当の窓口で調べることが必要でしょう。
 建築物の敷地が接する道路はどんなものでもよいわけではなく、次のような道路でなくてはなりません。これ以外の道路に接していても、接道義務を満たしているとはいえません。
 次の1.〜4.の道路は、幅員が四メートル以上あることが必要です。
 1. 国道、都道府県道、市町村道など、道路法によって管理されている道路(計画中のものでも、特定行政庁〔注〕の指定があれば可)
 2. 都市計画事業としてつくられた道路や土地区画整理事業などに之もなってつくられた道路(計画中のものでも、特定行政庁の指定むかせあれば可)
 3. 建築基準法が施行された昭和25年11月23日当時(その後都市計画区域に編入された地域では、編入の時)すでに存在していた道路
 4. そのほか、一定の基準に適合していて特定行政庁から住設の指定を受けた道路
 5. 建築基準法が施行された当時(その後都市計画区域に編入された地域では、編入のとき)すでに建物が立ち並んでいて、特定行政庁の指定を受けた道路
 最後の5.にあたる道路が、二項道路と呼ばれるものです(建築基準法第四十二条第二項に規定されているので、このように呼ばれています)。
 この二項道路は、幅員が四メートル未満ですが、既にそのような状態で局囲に建物が立ち並んでいるので、すぐには四メートルの幅員を確保することは無理があることを考慮して、将来周囲の建物が建て替えられるときに、四メートルの幅員となることを予定しているものです。
 ですから、二項道路として指定された道路は、その中心線から両側に二対の線が、道路の境界線とみなされます。
 このようにして、道路の境界線とみなされる線から道路側には建物を建てることはできません。門やへいも建てられません。また、すでに立っている建物を建て替えたり、増改築をするときには、その線まで後退しなければなりません。
 特定行政庁とは、市町村(または、東京都の区)に建築主事が置かれている場合には、その市町村長(または区長)、そのほかの場合には、都道府県知事を指します。
 公的主体に管理権限がない道路が私道です。一般に、道路に接していない敷地に建物を建てようとする場合には、私道を造って、関係権利者の同意を得た上で道路の位置の指定を受けなければなりません。この指定がないと、その敷地は道路義務違反となるからです。
 私道については、道路位置指定の有無や近隣者との間の権利関係をめぐってトラブルを生じることが多いようです。
 また、道路位置指定を受けた私道は、後に述べる建ぺい率や容積率の算定の際に敷地面積に算入されないので注意する必要があります。さらに、私道が道路位置指定を受けると、その私道を廃止したり、変更したりすることができない場合があります。
 都市部で宅地を造成しようとする場合には、原則として、都市計画法に基づく開発許可を受ける必要があります。開発許可は、造成される宅地について良好な市街地の環境を確保するために必要なもので、都市計画制限の一つです。
 この開発許可の基準は、一定の道路、公園、下水道などの都市施設が備わっていることなど、都市計画法に詳細に定められています。
 開発許可を受けた宅地は、都道府県知事の工事完了の検査を受け、その旨の公告がないと原則として建物は建てられませんから、開発登録簿でよく確かめる必要があります。
 開発許可を受けた宅地で、許可の内容に適合すると認められたものは、良好な居住水準を確保するための一定の基準の公共施設が配置されていますから、このような宅地は一応安心して購入できるわけです。
 開発許可以外の都市計画制限としては、次のようなものがあります。
 1. 市街地開発事業等予定区域内の建築等の制限
 2. 都市計画施設等の区域内の建築の規制
 3. 風致地区内の建築等の規制
 4. 地区計画の区域内の建築等の規制
 都市計画では、大規模な宅地造成や住宅建設などの事業を予定する区域や、道路、公園、下水道などの都市施設を建設する区域、あるいは都市の風致を維持する必要のある地区が定めれています。これらの事業や施設の障害となるような建築行為がなされないようにするための規制が、1.から3.の規制です。原則としてこれらの区域、地区の中で建築などを行おうとするときには、都道府県知事の許可が必要です。
 これらの区域内の土地の所有者は、建築行為などの制限を受けますから、知事や事業の施行者に対して土地を買取ることを請求することができます。

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