新築・増改築の手続き

 大都会の繁華街に威容を誇る高層ビルも、山中の湖畔に佇立する小別荘も、同じく建築物であって、そこには人間のさまざまな生活が営まれています。
 映画館やホテルなど、多くの人が集まる建築物であれば、時々、火事などで死傷者の出る事件が報道されますから、厳しい法律の規制があって当然という感じがしますが個人が小さな土地に家族しか住まない住宅を建築するのにも法的な制約があるとうものは意外な気がするかもしれません。
 住宅のデザインや間取りやインテリアなどは、個人の好みに属する事項ですので、いかに悪趣味であっても、これを法律で取り締まるのは行き過ぎです。しかし、柱の最低限の太さや浄化槽の大きさといった、住宅の安全性や衛生に関することや、隣家との距離などの快適な都市生活を送るために必要なことなどについては、やはり法律で規制を加える必要があります。

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 これらを含めたいろいろなことがらを規制するためにたくさんの法律がありますが、その中で中心的なものとして、まず建築基準法があげられます。
 建築基準法の前身ともいうべき法律は、旧市街地建築物法で、これはもっぱら大都市において無秩序な建築が行われないように行政庁(当時は警察)が取り締るための根拠となる法律でした。
 戦後、より民主的な手続とより詳細な実体規定を取り入れるためた市街地建築物法が廃止され、建築基準法が新たに制定され、その後の改正を経て、今日の建築基準法に至っています。
 建築基準法は、大きくいって建物を建築するまでの手続に関する規定、個々の建物の防火、構造上の安全性や衛生面に関する規定(これを単体規定といっています)、都市計画 区域内において無秩序な建築が行われないように、建物の敷地、用途、形態などについて定めた規定(これは集団規定と呼ばれています)、の三つに分けられます。
 建築基準法の規定は、これを守らなければ、法律違反として、都道府県や市町村から法律どおりにするように命令を受けたり、あるいは罰金や懲役刑を受けることもありますから、十分気をつけることが肝心です。
 また、その内容はかなり専門的ですので、都道府県や市町村、それに専門の建築士に問い合わせることが賢明です。
 建築士法は、建物の設計や工事監理などを行う専門家である一級・二級・木造建築士の職務の内容について決めてある法律です。
 自分の家ぐらい自分で設計しても問題はないはずと思われるかも知れませんが、建築基準法の細かい規定を守ることや、建物の構造計算(地震や風や雪など、建物に外部から加わる力に対して建物が安全であるかどうかを調べる計算をいいます。)は、素人ではわかりませんので、専門の一級・二級・木造建築士でなければしてはいけないことになっています。
 具体的には、鉄筋コンクリート造などで延べ面積が三〇平方をこえるものは、一級・二級建築士でなければ、また、木造でも延べ面積が一〇〇平方をこえるものは、一級・二級・木造建築士でなければ、それぞれ設計または工事監理(実際の工事が設計図面どおりに行われているかどうかを監督)をしてはいけないことになっています。
 建設業法は、実際に工事を行う建設業者について決めてある法律です。
 建設業の許可を受けた建設業者は、日本全国に約五〇万いるといわれていますが、建設律法では、これらの業者について許可、請負契約、紛争の処理、技術の確保などの点から規制を行っています。
 その他にも、都市計画法や住宅造成等規制法などが、住宅の新築や増改築に関係してきます。都市計画法と建築基準法(の集団規定)は姉妹法と呼ばれて、良好な市街地形成のために連携を限っています。宅地造成等規判決の宅地造成工事規制域内では、宅地に災害防止のために必要な施設の設置を義務付けています。
 住宅を新築するのにも、あるいは増改築するのにも、事前に色々なことを調べておくことが必要です。一番はじめに必要なことは、住宅を建てようとする土地が、どういう土地であるか、ということです。
 日本全国の土地は、大きくいって都市計画区域とそれ以外との二つに分けられます。
 都市計画区域というと、いかにも大都市やその周辺、地方都市の市街地だけという感じがしますが、実際は広くとられており、こんな所が、と思うほどの山間地が都市計画区域になっていることがあります。都市計画区域外であれば、建築基準法の集団規定は適用がありません。
 都市計画区域は、さらに市街化区域と市街化調整区域とに分けられます。市街化区域は、現在すでに市街地を形成している区域及びおおむね一〇年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域ですが、市街化調整区域は、これとは逆に市街化を抑制すべき区域となっています。
 この二つの区域の区分のほか、住居地域、商業地域・工業地域などのいわゆる地域地区、街路、公園、下水道などの都市施設などについて決めてあるのが、都市計画です。都市計画上、その土地がどう決められているかを知るのが、住宅を建てる場合に最初にすべきことです。
 都市計画は、都道府県や市町村の事務所で見たい人が閲覧できるようになっていますから、まずそこに行くことが第一歩です。
 都市計画を見る場合、まず、市街化区域か市街化調整区域かを確かめて下さい。市街化調整区域は、すでにいったように市街化を抑制して家が建たないようにすることを目的としている地域ですから、特別に都市計画法の開発許可を得ていなければ、住宅は建てられません。
 次に、用途地域が決められているかどうかを見て下さい。用途地域は、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域のハつがあります。
 これらの用途規制を含めた都市計画区域内の建築物及びその敷地に関する規制は、建築基準法の集団規定(第四一条の二から第六八条の五まで)で決められています。
 それに気をつけなければいけないことは、現在すでに建っている住宅を増築したり、取り壊して新築する場合に、同じだけの延べ面積をとれなかったりすることがあるということです。
 これは難しくいうと、既存不適格というものです。
 すでに建物が建ったあとで建築基準法が適用になった場合、本来は法律違反として変更を命ずるところですが、既存の状態を尊重して、そのまま使用してもよいが、ったんこれを一定規模以上増改築したりるときには、現在適用されている法律にってもらうということです。先ほどの例は、一〇〇平方メートルの土地に延べ面積八〇平方メートルの家を建てて住んでいたところ、第一種住居専用地域に指定され、容積率(建物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいいます)が十分の六と都市計画で決定された場合、老朽化したので建替えようと思っても、六〇平方メートルの延べ面積の家しか建てられません。

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