共用部分の管理

 共用部分の管理は、基本的には区分所有者全体の責任であり、区分所有者個人個人、居住者が自覚を持って行っていかなければならない問題です。共用部分の管理に要する費用についても、区分所有者が各々の持分に応じて負担することが原則です。
 ただし、ベランダやバルコニーなどのように個々の区分所有者の専有部分に付属している共用部分の日常的な維持管理費については、その専有部分の区分所有者が負担しなければなりません。
 全住戸の外壁やベランダをいっせいに塗りかえるような場合には、区分所有者全体の負担になります。また、駐車場のような専用使用の行われている共用部分も、その直接の費用は共通の維持管理経費から支出されているとしても、その経費は当然、その部分の専用使用権者から徴収する専用使費的な性格の費用の負担については、その費用の性格から考えて、各戸割りとすることも考えられます。

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 マンションの管理を実際に行い、その義務を負う者を、法では「管理者」と呼んでいます。管理者は、共用部分等を保存し、集会の決議を実行し、及び規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負います。また管理者は職務に関し、区分所有者を代理するとともに、規約または集会の決議により区分所有者のために裁判の原告または被告となることができます(法第二六条)。管理者または管理組合法人の理事は、毎年一回定期の集会で、その事務に関する報告をしなければならないことになっています。そして、各区分所有者は、管理者に不正な行為などがあるときは、その解任を裁判所に請求することができます(法第四三条、第四七条第九項、第二五条第二項)。
 ここでいう管理者とは、一般には、管理全般を一括して委託される管理会社などが考えられますが、マンションの管理を円滑に行う上では、管理者を区分所有者の中から(例えば管理組合の理事など)選任することが一つの方法でしょう。
 マンションの管理は、一括して、あるいは個々の業務をそれぞれに委託することができます。最近では、マンションの管理を専門に行う業者もかなり増えてきました。
 委託契約は、管理程合と管理会社との間で行われているのが一般的ですが、管理組合が必ずしも契約の当事者となり得ないこともあり、区分所有者全員の契約とみなされることにもあります。
 委託契約に当たって非常に大切なことは、委託業務の範囲を明確にしておくことです。警備業務は行うのか、あるいは受付事務に郵便物の受取りは含まれるのかなど、実際のケースに即して細かい範囲まで明確にしておくことが必要です。
 共用部分の管理に関する事項は、規約で別段の定めをしない限り、集会の決議(区分所有者及び議決権の各過半数)で決することとなっています(法第一八条)。共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の議決で決しなければなりません(ただし、区分所有者の定数は、規約で過半数まで減らせます)。この場合に、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を与えるときには、その専有部分の所有者の承諾を得なければなりません(法第一七条)。
 共用部分の管理のうちでもとくにトラブルの多いのは、駐車場のように、住戸とは切り離されて専用使用権が認められている共用部分の管理の問題です。
 駐車場などについては、分譲業者がその所有権だけは譲渡せず賃貸借を行ったり、あるいは特定の区分所有者に専有部分として譲渡したり、という例こそ少なくなりましたが、共用部分でありながら「駐車場付き」ということで分譲価格を上乗せして譲渡しているケースは依然として多いようです。
 駐車場のような共用部分は、本来、管理組合が独自の判断に基づいて運営管理を行っていくべきであるにもかかわらず、その専用使用権を所有権と同様に考えて転貸を行ったり、専有部分と併せて譲渡したりするる例があるのは、分譲業者の側にも大きな責任があるといえるでしょう。
 駐車場の使用については(特別の配慮が必要です)、基本的には、区分所有者が平等に専用使用の機会を与えられなければなりません。駐車場の数が足りない場合は抽せんを行う、また、専用使用権者が旅行などで一定期間駐車場を使用しない場合は、その期間中のみ他の区分所有者の使用を認める、などマンションの事情に応じた運営を行っていくことが必要です。
 また、専用使用料についても、使用希望者の倍率や駐車場の維持管理経費を勘案して決定することが必要でしょう。駐車場の貸与については専用使用料が一般の相場かそれ以上の場合は認めてもよいですが、安い場合は区分所有者が利ざやをかせぐことになりがちなので好ましくありません。
 こうした点については、管理規約や使用細則で具体面なケースを想定して細かい規定を設けておく必要があります。
 管理費を払うことは、区分所有者の当然の義務ですが、それを払わない場合には、管理者または管理組合法人は、その区分所有者に対して専有部分などについて債権を有することににります。
 この債権については、先取特権という一般の契約による債権より優先して弁済をうけることのできる権利が認められています(法第七条)。ただし、現実に支払いを求め、その区分所有者があくまで応じない場合には、裁判などを通じて支払いの履行を求めるほかはないでしょう。
 法では、マンション復旧および建替えについても規定が置かれています。復旧 まず、建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失した場合は、各区分所有者は、滅失した共用部分や自分の専有部分を復旧することができます(共用部分については、集会で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をして、復旧する方法もあります)(法第六一条)。
 一方、建物の価格の二分の一を超える部分が滅失した場合には、集会で、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます。この決議がされた場合は、決議に賛成した区分所有者以外の区分所有者は、決議に賛成した区分所有者に対し、自分の専有部分等を時価で買い取ることを請求できます。(法第六一条)
 次に老朽、破損、一部の滅失その他の事由により、建物がその効用を維持し、または回復するのに、建物の巨額等に照らし、過分の費用を要するようになったときは、集会で、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、建物の敷地に新たに主たる使用目的が同じである建物を建築する旨の決議(建替え決議)をすることができます。建替え決議においては、新たに建築する建物の設計の概要、所要費用の概算額などを定めなければなりません(法第六二条)。建替え決議がされたときは、集会を招集した人は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対し、建替えに参加するかどうかを回答すべき旨を書面で催告しなければなりません。このょうにして、建替えに参加しない区分所有者を確定した後、建替え決議に賛成した区分所有者等は、建替えに参加しない区分所有者に、その専有部分等を時価で売り渡すことを請求できることになっています。そして、建替え決議に賛成した区分所有者等が、建替え決議の内容に従い、マンションを建替えることになります(法第六三条、第六四条)。

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