管理組合と規約

 マンションの管理を行っていく場合の主体となるのは、管理組合です。管理組合は、マンションの区分所有者全員によって構成され、区分所有者全員の共同の利益を図るため、マンションの維持管理を行っていくものです。
 法では第三条で「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」とされています。この団体は設立しなくても、もともと存在しているものとみなされます。この団体が、管理組合にあたるわけです。

スポンサーリンク

 マンションの管理組合は、法律上は、一般的には「権利能力なき社団」とみなされるものですが、区分所有者が三〇人以上いる場合には、一定の手続を経たうえで管理組合法人として法人格を取得することができます(法第四七条第一項)。
 ただし、法人格を取得したからといって、それだけではただちに修繕のための資金等を管理組合法人が主体となって借りることは困難です。日頃から、修繕積立金を積立てるなど、担保能力を増しておくことが必要です。
 マンションの管理組合は、自治会と混同されることが多いようです。管理組合は、マンションの維持管理を目的とするもので、円滑な共同生活や近隣の親睦をめざしている自治会とは性格的にかなり近い部分もありますが、本来的には異なったものです。
 管理組合は、区分所有者により構成されるものですが、自治会は居住者が単位となるのが普通で、管理組合と別に自治会をつくっているところも少なくありません。ただし、必ずしも別の組織としなければならない、というものではなく、それぞれの目的に沿った適切な意味決定や経理処理を行えば、組織が同一でも、それなりのメリットがあると思われます。
 管理規約は、区分所有者全員がマンションを管理していくうえでの取り決めです。法第三〇条では、「建物又はその敷地もしくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」とされており、個々のマンションで実際に管理をどのように行っていくかは、規約の決め方一つにかかっているといっても過言ではありません。また、法律上の規定のうちでも、共用部分の範囲や集会の定足数や議決方法など、規約で法文とは異なった定めにすることが可能なものもあり、規約によって決定される範囲はきわめて広いといえます。
 規約の設定、変更または廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってされます。そして、この場合、規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その人の承諾を得なければならないこととされています(法第三一条)。
 規約の設定は、実際には、分譲業者が管理規約の案を準備し、譲渡契約と同時に管理規約についても合意の書面を取りつけるのが一般的なやり方です。こうして、区分所有者全員の書面による合意がなされたときは、集会の決議があったものとみなされ(法第四五条)、規約が設定されます。なお、規約による共用部分の設定等一定の項目については、分譲業者などが単独で公正証書により規約を設定する方法もあります(法第三二条)。
 規約の効力は、区分所有者のみならず、区分所有者の特定承継人にも及び、賃借人などの占有者も建物等の使用方法につき、区分所有者が規約に基づいて負う義務と同一の義務を負います(法第四六条)。
 なお、規約は管理者または管理組合法人の理事が保管しなければならず、また、規約の保管場所は建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(法第三三条第一項、第三項、第四七条第九項)。
 集会とは、区分所有者がマンションの管理のやり方を取り決めるための会合で、いわゆる管理組合の総会をさしています。
 法第三四条では、「集会は管理者が招集する」「管理者は、少なくとも毎年二回集会を招集しなければならない」と定めています。一方、区分所有者が集会の開催が必要だと考える場合には、「区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる,ただし、この定数は規約で減ずることができる」と定められています。この請求にもかかわらず、管理者が集会を招集しない場合には、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができることとなっています(管理組合が法人である場合には、「管理者」は、「管理組合法人の理事」となります)。
 集会の招集の通知は、集会の日より少なくとも一週間前(この期間は規約で別に定められます)までに、区分所有者が通知先として届け出た場所がある場合にはその場所に、そうでない場合には区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあてて出します。ただし、建物内に住所を有する区分所有者や通知先の届出のない区分所有者に対しては、規約で定めれば、建物内の見やすい場所に掲示することで代えられます。また、会議の議題が共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)などの場合には議案の要領も通知する必要があります(第法三五条第五項)。さらに、会議の議題について利害関係のある賃借人などがいる場合には、集会の招集者は、集会の日時、場所、会議の議題を建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(法第四四条第二頂)。
 集会の議決権については、法第三八条で、規約に別段の定めがない限り、各区分所有者の専有部分の床面積の割合によることとされていますが、専有部分の床面積は細かな端数があるため、手続きの手間もあり、あまり一般的でないようです。
 むしろ、一つの住戸につき一票とし、専有部分の床面積に著しい差のある場合には、特別に配慮することを規約の中で定めておく方が現実的です。
 議決権の行使は、書面または代理人によってもすることができます(法第三九条第二項)。
 また、賃借人なども会議の議題について利害関係がある場合には、集会に出席して意見を述べることができます(法第四四条第一項)。
 集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても効力を生じます。また、賃借人などの占有者も、建物等の使用方法につき、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います(法第四六条)。
 集会の議事については、議席が議事録を作成し、これに議長および集会に出席した区分所有者の二人が署名押印することとされています。そして、管理者または管理組合法人の理事がこの議事録を保管し、保管場所を建物内の見やすい場所に掲示しなければならないことについては、規約の場合と同様です。(法第四二条、第四七条第九項)

冠婚葬祭
借地借家と法律/ 賃貸借契約の実際/ 借地・借家の期間・更新/ 貸主借主の交替/ 賃料の決定と値上げ/ 借地・借家権の消滅原因/ 売場・店舗の賃貸/ 社宅契約と立退/ 借地・借家権の相続/ 借地・借家紛争の解決/ 不動産取引の基礎知識/ 売買契約を結ぶ前に/ 売買物件の調査及びその価格評価/ 契約書の作成/ 売買契約の締結/ 特殊な不動産の売買/ 分譲マンション/ 分譲マンション購入の事前調査/ マンションの売買契約の締結/ マンションの所有関係/ 欠陥マンションの問題/ マンション管理の法律/ 管理組合と規約/ 共用部分の管理/ 公営・公団住宅/ 公営住宅の申込み/ 公団住宅の申込から入居/ 公営住宅の相談/ 公団住宅の相談/ 新築・増改築の手続き/ 新築プラン/ 建築請負契約の締結/ 工事紛争の解決法/ 宅地に対する規制/ 家に対する規制/ 住宅ローン/ 住宅ローンの利用手続き/ 住宅ローン相談/ 区画整理とその対策/ 土地収用とその対策/ 不動産取引業者の知識/ 登記の効力/ 登記の手続き/ いろいろな登記の実際/ 身近な紛争の解決/ 境界の問題/ 越境したままの建物/ 建築中の越境建物/ 公図と境界が違っている/ 公図は正確か/ 隣りの庭木の枝や根が越境している場合/ 塀の設置について/ 塀の保存と修繕の費用/ 境界の土留工事の費用/ 道路の問題/ 改築における通行権/ 通行地役権の時効取得/ 民法と建築基準法の規定/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク