分譲マンション購入の事前調査

 分譲マンションを購入しようとするときには、まず広告やパンフレットをみて、目的物の見当をつけるのが普通です。これは、一戸建住宅や分譲地の購入についても同様のことがいえます。とくに新築マンションの分譲の場合は、いわゆる「青田売り」で分譲されることが多く、したがって、広告やパンフレットが、より重要な意味を持つこととなります。
 「青田売り」というのは、マンション、建売住宅、分譲地などについて、その工事が完了する前に販売することをいいます。売主である宅地建物取引業者の事業資金の回収が早く、銀行金利の負担も少なくなるので、とくにマンション分譲にはよく行われています。

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 青田売りでマンションを分譲する場合に、その広告を行うときには、建物はまだなくて更地のままなので、完成予想図などを使っているのが普通です。しかし、買手にしてみれば広告に表示されたとおりの物件が現実に完成して手に入る保証はなく、その間に大きな差があって当事者間に紛争が生じる恐れがあります。
 このため、宅地建物取引業法(以下「宅建築法」と略します)では、青田売りにおける広告活動の開始時期について一定の制限が加えられています。すなわち、青田売りの場合の取引物件に関する広告は、都市計画法に定められている開発許可や建築基準法に定められている建築確認などの一定の法令に基づく許可などの処分があった後でないと、これをすることができません(宅建築法三三条)。
 次に、広告の内容についてですが、宅建業法では、誇大広告や虚偽広告によって購入者などをあざむいて契約を結ばせ、その結果、購入者に不測の損害を生じさせることを未然に防ぐために規定を設けています。規制の対象となるのは次の項目についてです。
 ・ 宅地建物の所在、規模、形質
 ・ 現在における利用の制限、環境、交通などの利便
 ・ 将来における利用の制限、環境、交通などの利便
 ・ 代金、借賃などの対価の額とその支払方法
 ・ 代金に関する金銭の貸借のあっせん
 これらの事項について、著しく事実に相違する表示、あるいは実際のものよりも著しく優良または有利であると人を誤認させる表示をすることを法は禁止しています(宅建業法三二条)。
 また、不動産に関する広告の規制については、不当景品類及び不当表示防止法一〇条一項の規定に基づく「不動産の表示に関する公正競争規約」がよりきめ細く定めています。この規約は宅地建物取引業者の自主規制によって、誇大広告や虚偽広告によって一般消費者の利益を損うことを防止しようとするものです。
 以上のような広告の規制は、パンフレットも広告表示の一形態とみなされますので、同様の適用があります。
 最後に、新規マンションの青田売りによる分譲の際には、モデルルームが設けられることが多いようです。不動産の表示に関する公正競争規約では、モデルルームも広告表示の一形態とされていますが、マンションを購入しようとする者にとって、モデルルームは他の表示方法と追って格段に大きい影響を与えます。しかし、モデルルームは、一つのマンションのいくつかのタイプのうちの一つにすぎませんし、立派なインテリアやじゅうたんなどで飾りたてられていることも多く、また、マンションの分譲が終わると取りこわされるものです。したがって、モデルルームによる広告表示の公正を確保するためには、他の文書や図面による説明が必須であるといえます。
 分譲マンションの敷地についてとくに注意を要するのは、建築確認の申請のときに記載された敷地が登記されているかどうかを調べることです。かつては、敷地の一部を借地してマンションを建設し、竣工後にモの地主に返したり、敷地の一部を施主が第三者に売却した例がありました。
 このようなことになると、あとで同じ床面積の建物を再建築できなかったり、現状でも違反建築物となったりします。また、資産価値も低下します。マンションの購入は、居住床を購入するという感じが強くて、敷地は共有となるので意識されないことも多いのですが、敷地の権利関係についても十分注意することが必要です。
 売主となってマンションを分譲するためには、宅地建物取引業の免許を受けていなければなりません。したがって、通常は売主は宅建業者であるわけですが、まず第一に注意しなければならないのは、売主がその分譲マンションの真実の所有者であるかどうかということです。所有者でない売主も、民法上は売買契約だけは有効に結ぶことができますが、結局所有権を取得できずに、價務不膜行になってしまう危険があります。なお、登記上は所有者でも、真実の権利関係をともなっていない場合もありますので注意を要します。
 次に、信用ある分譲業者を選ぶことが必要です。そのためにはまず、免許の有無を調べなければなりません。免許を受けた宅建業者であっても、絶対安全とはいえませんが、宅建業違反の行為をすれば、免許取消しや業務停止などの処分を受けますから、責任ある取引をすることが期待されます。また、その他に、過去にトラブルを起こしていないか、宅建業者としての義務に違反して処分を受けていないかなどについて、免許を与えた役所やモの宅建業者の加盟している業者団体などに問い合わせるのがよいでしょう。
 最後に、信用ある宅建業者のうちでも、マンション分譲業者として実績のあるものを選んだ方がよいでしょう。マンションの施工の良し悪しの判断は、分譲業者の過去のマンションの供給実績を調べ、施工に直接あたる建設業者の信用度を調べれば、およその見当はつくはずです。豊富なマンション供給実績をもっている分譲業者は、数多くの顧客からのクレームに接しているので、そのクレームの改善点が新しく分譲されるマンションに生かされると考えられるからです。いずれにしても、マンションの複雑な工程を素人である購入者がすべてチェックするのは無理ですので、納得のいく分譲業者と施工業者を選ぶことが大切です。

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