特殊な不動産の売買

 ここではやや特殊な不動産の売買に関して説明したいと思います。なおこの場合にも注意したいのは、特殊な不動産の売買とはいっても前述の売買とはまったく異なるというものではなく、前述のことを基礎として、これにそれぞれの特殊性が付加された取引であるということです。このことをまずもって前提として頭に入れておいてください。

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 農地を売買するにも、その形態により二つの場合が考えられます。
 一つは農地を農地として売却する場合であり、いま一つは農地を宅地として売却する場合です。いずれの場合にも都道府県知事の許可が必要とされております(農地法三条一項、五条一項)。そしていずれの場合にも、都道府県知事の許可が売買物件の所有権移転の効力発生要件と解されていますので、都道府県知事の許可がおりない限りは所有権移転登記は原則として行えないことになります。
 したがって、このような場合には、都道府県知事の許可が出るまでの間、売買物件に仮登記を付することにより買主の利益を保護することが必要になります。
 なお、売買契約締結以前に農地に賃借人が存在する場合には、賃借人は農地の引渡しさえ受けていれば新所有者に対しても賃借権を対抗できますので(農地法一八条)、その有無について事前に十分調査することが必要になります。
 山林、原野の売買においては、現地調査が重要になります。すなわち山林、原野などはその境界が明確でないことが多く、また山林内の立木が売主以外の第三者の所有物になっていることもないとはいえないからです。というのも、立木については立木法による登記という制度が存在しますが(従って登記簿を調べることも必要です)、他方で樹皮の一部を削って所有者名を墨書するといった方法(明窓方法)も所有権公示の方法として認められているため、売主以外の第三者が立木を所有していることも十分にあり得るからです。なお以上の他に山林、原野は伝統的に村落などの入会地として使用されてきたことも多いため、入会権が設定されていないかの確認も行わなければなりません。この場合かりに入会権が設定されていることになれば、村落全員の承諾を得ないと当該山林、原野を購入できない(民法二六三条)ことになったり、あるいはせっかく購入しても入会地としての利用を中止させることができない(民法二九回条)ことが生じてきますので十分な注意が必要です。
 なお山林については以上のほかに森林法の規制があります(森林法三四、四四条)。
 都市計画区域内においては、道路、公園などの公共施設を整備し、宅地の利用を高めるために、ある土地に対する権利関係を他の土地に対するそれに移す処分を行うことがあります(区画整理)。このような処分は換地処分と呼ばれていますが、換地処分を行うには整理工事などさまざまな手続きが必要であるために、あらかじめ将来換地となる土地の優渥、面積を指定しておくことがあります(仮換地の指定)。
 仮換地の売買とは、このように将来別の土地に換地される予定の土地の売買のことをいいます。売買される土地は形式的には従来からの土地ですが、実質的には換地後の新しい土地であるというきわめて特殊な売買の形式をとることになります。このような特殊性から、例えば従来の土地の一部を売買した時に、その部分は新しい換地のどの部分にあたるかといった土地の特定の問題とか、換地後の清算金を最終的に売主、買主のどちらかに帰属させるのかといった複雑々問題が発生します。
 いすれにしても、このような土地の売買を行う時には、専門家の助言を求める事が得策と思われます。
 分譲地の売買は通常宅地造成業者を売主として行われます。この場合に注意すべきことは土地の所有権が旧地主に残っていたり、またそうでなくとも所有権登記が旧地主に残っていることがないかという点です。このような事項を十分に確認して、かりに事項が発見されたならば、旧地主、宅地業者間の関係を十分に確認しておくことが必要になります。
 なおそれ以外にも、分譲地が以前宅地以外であった場合には宅地転用について知事の許可が出ているのか、私道負担がある場合にはその具体的場所がどこであるかなどを確認し、また造成工事自体に手抜きがないかを十分に調査する必要もでてきます。
 建売住宅の購入にあたっては、当該建物が所定の規格、性能を有しているか否かを検討することがまずもって重要です(欠陥住宅)。できれば専門家に依頼して十分に調査してもらうことも一つの方法でしょう。なお万一購入後にいろいろな瑕疵が見つかった場合に、売主としてどこまで責任を負担するかを事前に具体的に確認しておくことも必要です。
 なお敷地を購入しない場合には、敷地の利用関係を十分に確認しておくことが重要です。
 区分建物の売買とは、いわゆるマンション売買のことですが、これも基本的には建売住宅の場合と同じです。しかし集合住宅ですから、住民の全部もしくは一部で使用する共用部分の利用関係が具体的にどうなっているのか、敷地に対する権利関係がどうなっているのかなどの点は十分に確認しておくべきだと思われます。

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