借地・借家紛争の解決

 借地・借家に関する紛争も当事者間で処理ができない場合は、他の紛争と同じように、最終的には裁判所が法律に従って判断しての結着を見るということになりますが、借地借家関係は、長期間継続する契約関係であることから、法律論だけで割り切れない部分も多く、借地・借家紛争の特殊性となって現われることになります。

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 一つには、貸主・借主の関係が人情によって律せられ、当事者間の意識には法律関係に対する認識が希薄であることです。このため当事者関係が円滑に進行している間は問題は生じませんが、ひとたび関係がこじれると、感情的な対立は激化し、訴訟における対立も激しさを極めるようになります。
 二つには、貸主と借主とでは、前者のほうが社会的力があり、紛争が法律によってではなく、力によって解決されるということです。
 例えば、貸主に有利な特約で強行法規に反する無効なものであっても、あえて訴訟で争うということもせずに、貸主のいいなりになるということが多いということなどです。
 このため、法律論と現実の関係との間に著しいギャップが生じることになりますが、やはり両当事者が法的知識を高め、理性的解決をすることが紛争処理にとっては望ましいものと思えます。
 借地・借家の紛争が訴訟という形になる場合は、ほとんどが賃貸人が原告になり、賃借人を被告として訴を起こすということになります。
(1)明渡請求の訴え
 借地の場合は建物収去(取りこわし)土地明渡の訴えとなり、借家の場合は建物明渡の訴えということになります。
(2)賃料増額請求
 賃料の増額の請求をしても借主が応じない場合は、過去の賃料の請求と将来の賃料額を確定させる訴えとなります。
(3)手続の概要
 訴訟を起こす場合は、訴状に当事者の住所氏名、請求の趣旨(いかなる訴えか)、請求の原因等の必要事項を書いて、収入印紙を貼って(消印すると無効になる)裁判所に提出するわけですが、手続は複雑になりますから、やはり専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
 借地に関する紛争のうち、事情変更による借地条件変更(借地法八条ノニ第一項)、増改築の承諾に代わる許可(八条ノニ第二項)、譲渡・転貸の承諾に代わる許可(九条ノニ第一項、九条ノ三第一項)の裁判等は、一般的な訴訟手続とは異なる、特別の手続きで裁判が行われます。これを一般には借地非訟事件と呼び、最高裁判所の規則である「借地非訟事件手続規則」にしたがって処理されます。
 管轄裁判所は原則として、土地の所在地を管轄する地方裁判所ですが、当事者が合意すれば簡易裁判所でも審理することができます。
 申立ては、書面でしなければなりません(同規則一七条)。
 裁判所は審問期日を開いて当事者の陳述を聴き、事実を探知するため、職権で証拠調べをする場合もあります(規則一四条ノ七)。
 借地非訟事件では、裁判所は特に必要がないと認める場合を除いて、鑑定委員会の意見を聴かなければなりません(借地法八条ノニ第六項、九条ノニ第六項等)。
 鑑定委員会の構成は借地法一四条ノ五によって規定されますが、通常は不動産鑑定士が委員になります。鑑定に要する費用は当事者が負担しなければなりません。
 借地法一四条ノー三は、借地非訟事件を審理する裁判所は当事者に和解を勧告することができ、職権で事件を調停に移すことができる旨を定めています。
 和解も調停も、当事者の合意によって紛争を解決することを目的とする手続きですが、仲介するのは、和解では裁判所であり、調停では調停委員会ということです。和解や調停が成立した場合は、確定判決と同様の効果をもち、当事者双方を拘束します。

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