借地・借家権の相続

 借地人や借家人が死亡した場合、借地権や借家権は相続され、借地・借家関係における一切の権利義務は相続人に承継されます。
 例えば、夫が死亡し、妻一人が相続人の場合を考えると、その妻が夫の死亡と同時に自動的に借主となり、借地(借家)関係は終了しません。妻は、借地(借家)をそのまま使用な益することができる一方、貸主に対しては賃料を支払う義務を負います。
 この場合重要なことは、借地権(借家権)の譲渡・転貸の場合と異なり、相続については貸主の承諾は要しないということです。名義書換料や承諾料等の名目で金員の支払を貸主から要求されても、これに応ずる義務はありません。
 結局、借地権(借家権)は、一つの独立した財産権であって、相続財産に含まれるということになります。また、当然相続税の対象にもなります。

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 前の例と違って、相続人が複数いる場合は、借地権(借家権)は共同相続され、借地権は相続人全員の準共有ということになります。
 もちろん、相続人全員の協議によって遺産分割をして、ある一人の相続人に借地権を帰属させることができます(協議が整わないときは、家庭裁判所の調停により分割する方法があります。調停が成立しないときは、最終的には家裁の審判によって決せられます)。
 賃料債務 共同相続の場合、貸主はいったい共同相続人の誰に対し、賃料の支払を績求できるのでしょうか。判例は、賃借人の一人に対し、賃料全額を請求できるとしています。賃料債務は「不可分債務」(民法四三〇条)にあたるというのがその理由です。
 では、賃料不払いなどを理由として、賃貸人が借地契約を解除しようとする場合、どのような手続が必要でしょうか。
 判例は、解除は全員に対し、意思表示しなければ、有効な解除とはいえないとしています(民法五四四条一項)。一般的には、催告、解除共に、全員に対してすることが必要と思われます。特に催告は、履行の機会を与えて解除の危険を避けるという意味からも、全員に対する意思表示をなすべきでしょう。
 婚姻の届出が無ければ、外見的には夫婦であっても、法律的には夫または妻であるといえません。このような内縁関係にある場合、内縁の妻(ないし夫)は、相続権は認められませんが、法律は、内縁の妻の立場を考え、いくつかの規定等によって、その保護をはかっています。この場合、死亡した内縁の夫に相続人が存在するか否かによって扱いが異なりますので問題点を整理してみます。
 借地権の場合は、他の一般財産と同じ扱いになります。つまり、内縁の妻は、特別縁故者として家庭裁判所に相続財産の一部または全部の分与を請求できますので、家庭裁判所は借地権を内縁の妻に与えることができるわけです(民法九五八条ノ三)。
 借家権の場合は、借家法七条ノニによって、同居している内縁の妻は、当然に賃借人の権利義務を承継し、借家権を取得することになります。
 他に相続人がいる場合は、特別縁故者の規定(民法九五八条ノ三)申告家法七条ノニの規定は適用されません。
 貸主からの明渡請求、判例は、この場合は相続人の賃借権を援用して、居住する権利を対抗できるとしており、内縁の妻を保護しております。
 相続人からの明渡請求、借地権や借家権が相続されると、内縁の妻は相続権がなく、相続人に対しては何の権利も主張できません。しかし、具体的事情によっては、内縁の妻にとって酷ともいえる場合もあり、かような場合は相続人の主張は「権利の濫用」(民法第一条三項)として内縁の妻を救うべきでありましょう。

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