売場・店舗の賃貸

 独立した一個の建物は、借家法の対象となることはいうまでもありませんが、建物の一部を借りている場合にも借家法の適用があるのでしょうか。
 店舗に使用するための賃貸借の場合は、借家法の適用がある、とされることが多いようですが、目的物がある程度独立した構造をもっていないと、借家法にいう建物とはいえない場合があります。
 判例では、「他人の使用部分との区画すら判然としない店先の一小部分」は「ケース貸しに近い」ものとして、借家法の適用を否定しているのに対し、「建物の一部の土間(間ロニ間半奥行三間)で場所がガラス戸により区分されている」という事例では、借家法の適用ありとしています。

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 貸ビルなどの賃貸借については、居住権という問題はありませんので、借家法の解釈に際し、当事者双方が投下した資本の回収という点を考慮におくべきではありますが、やはり借家法の適用は原則としてあると考えてよいと思います。
 ビルの一室をさらに間仕切りした部分については、独立性が強い場合は、借家法の適用があるといえます。
 売場や店舗の賃貸借の場合、貸主側の事情としては、土地や建物の購入に際してかなりの資本を投下している以上、賃貸借契約はこれを確実に回収することを目的としたものといっても過言ではありません。そのため、借主の資力が充分か、経営手腕はどうかということを、契約締結に際して調査する必要があります。また、賃料や保証金の決定にあたっても、投下資本の回収という観点が中心となります。最近の土地高騰の状況からいって、高額の家賃、高額の保証金を要求するケースが増えてきています。
 借りる側の事情としては、何よりも営業の目的にかなっているか(立地条件、顧客層の把握、競業者など)、家賃や保証金が採算に合うかどうかということがポイントですから、やはり借りる前に充分な調査、計画が必要であることはいうまでもありません。
 また、保証金や権利金については、その内容を充分に確認しておくべきです。返還してもらえるのか否か、契約期間が満了した場合、追加する必要があるのかどうか、ということです。
 賃料は、通常は毎月いくらというように一定の金額を支払うのが通常ですが、売り上げにスライドして決める方法もあります。単純に売り上げの何%とするよりは、基本賃料に売り上げ額の何%かを上積みするという例が多いようです。
 この場合、賃料は売り上げによって変動します。貸主としても借主の経営状況に大いに関心があるわけですから、契約の上で、貸主が経営の内容に関与できるように決めたり、経営不信の場合は解除できるようにすることがあります。
 このような契約は純粋な意味の賃貸借とはいいにくく、経営委任の要素も合まれており、借地法がストレートに適用されるとさまざまな不都合(解除権や契約期間など)がありますので、契約締結の際は、賃貸借か否か、借家法の適用があるか否かを明確に決めておくことが肝要です。
 デパートやスーパーなどの一区画を営業用として使用するために、賃貸借することがありますが、一般にはケース貸しと呼ばれています。
 ケース貸しの場合、目的物の独立性に乏しいため、借家法の適用の有無が必ずしも明白ではありません。
 ですから、契約の条項で、解除や契約期間に関する取り決めを明記して、後日に紛争の種を残さないようにすることが必要です。
 売場・店舗等の賃貸借契約では、営業目的を定め(例えば事務所として使用する場合に限るとか、肉屋として貸すなど)、家主に無断で営業目的を変更することを禁止する特約をする場合があります。
 この特約に反した場合、解除できるか否かということですが、ビルや商店街における純粋の店舗用の家屋の場合は、特約は有効と考えるべきでしょう。なぜなら、モの建物内の規律を乱す(高級店のイメージをもつ地下街などの中に風俗店があっては困るわけです)ことや、競争相手が増えることを防止するという賃貸人の目的は、企業経営として合理性を持つといえるからです。これに対して、併用住宅の賃貸借の場合は、必ずしも解除原因とはならないと考えられます。
 店舗の借家契約で他に重要なこととしては、借家権を譲渡できるか否かということがあります。場所にもよりますが、大都市の繁華街では、借家権価格が更地価格の九割に達するというところさえありますので、権利の譲渡性の有無は経済的には重要な意味をもっています。
 ビル等の賃貸借では、共用部分(廊下、ロビー等)に対する権利、設備(電気、ガス、水道など)に関する費用の分担を明確にし、ビルの管理に対する責任についてもはっきりしておくことを忘てはいけません。
 店舗の賃貸借では、営業権の譲渡も含まれる場合もありますので、権利金の授受に際してその性格を、契約書に明記しておくべきです。
 また、店舗の改装や模様替えなどについての取り決め、賃貸借終了の際における借家人の原状回復義務についても、契約に明記しておいたほうがよいでしょう。

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