借地・借家権の消滅原因

 借地権の消滅原因には、1.借地期間の満了、2.建物の朽廃、3.債務不履行による解除、4.合意解除があります。
 1.は、期間が満了し、地主側も「正当事由」があって期間が更新されない場合です。この場合、借地人は地主に対して、地上建物の買取りを請求できます(借地法四条二項)。
 2.の建物の朽廃が消滅原因になっているのは、建物が存続する間は借地権を存続させようとする考え方から導かれたものです。
 「朽廃」は、地震、火事、風水害などにより建物が破壊される「滅失」に対する概念であり、歳月が経過し自然に建物が腐朽し、建物としての使用に耐えられなくなった状態を意味します。朽廃したかどうかの判断は建物を全体として観察しての使用価値の点から判断すべきで、部分的に腐朽しても、修理を加えれば使用できる場合は、まだ「朽廃」とはいえません。
 しかし、修理のために過大な費用を要したり、建物の同一性を失わせるような大修理が必要な場合は、朽廃の域に入るといってよいでしょう。一般的にいって朽廃が認められる例はまれです。朽廃前に増改築をしてしまうからです。その意味で借地権は半永久的といえます。
 4.の合意解除とは、当事者が互いに借地契約を終了させることに合意することです。

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 借家権の終了原因は、期間を定めない場合は、賃貸人が解約申入れをし、かつ正当事由がある場合、期間の定めがある場合は、賃貸人が更新を拒絶し、かつ正当事由がある場合、契約不履行による解除、合意解除、のほかに、目的物(借家)が滅失朽廃し、使用できなくなったときも、借家権は消滅します。
 借主が賃料を支払う義務を怠り、賃料を滞納している場合は、民法五四一条により貸主は相当期間を定めて催告し、それでも払わないときは、契約を解除することができます。
 では、一度でも賃料の支払を怠れば解除できるのでしょうか。賃借人にとって借地や借家は生活の本拠であることが多く、一度の滞納で解除を認めるのは、酷といえます。
 どの程度の滞納で解除できるかは、いちがいにいえませんが、契約の種類(借地か借家か)、継続期間、従前の賃料の支払状況(たびたび滞納しているか、初めてか)などを考慮し、信頼関係を破壊する程度の不誠意が認められるときは解除できると考えてください。
 無催告解除特約、民法五四一条によれば、契約違反によって解除するには、解除する前に一度催告しなければならないことになっています。これについて、契約では、賃料の支払を怠れば何らの催告を要せずに賃貸人は解除できるとする特約をいれるのが通常です。
 この特約が有効かどうかということですが、信頼関係を破壊しているような賃料の不払いがあるときは、有効と考えてもよいと想います。しかし、解除する側としては、特約があっても念のため催告しておいたほうが無難です。
 無断譲渡・転貸、民法六一二条によればこの場合、原則として解除事由になります。特殊な事例で、信頼関係が破壊されていないとして、解除を否定した判例もあります。なお、借地上の建物の所有者が、建物を第三者に貸すのは借家契約であって借地契約ではありませんので、無断譲渡、転貸にはなりません。
 使用方法が悪い場合、借家契約では、住居用家屋を営業用に用いた場合、その程度によっては解除が認められることがあります。家の使い方が乱暴で、家を毀したりした場合、騒音等で近隣の妨害になるような行為をした場合など、解除が認められた例があります。
 無断増改築 借地の場合は、その程度が小さい場合は解除夜は否定されますが、借家の場合は解除が認められやすいようです。特に増築の場合は止むをえない事由がない限り、解除されると考えてよいでしょう。
 解除するには、必ず相手方にその意思を伝えなければなりません。口頭でもよいのですが、後日の証拠を残すためには、内容証明郵便を使うのが一般的です。また、第三者の立会いのうえで、解除の意思を表示するのも一つの方法です。
 解除をしても、あい変わらず、賃借人が居すわっている場合は、解除の目的が達せられません。その場合は、裁判によって、土地や建物の明渡しの訴訟をしなければなりません。仮にその裁判に勝っても、居すわり続けている賃借人を追い出すには、強制執行手続をしなければならず、賃借人が最後まで抵抗すれば、最終的に土地や建物を取り戻すのにはかなりの時間がかかるというのが現実です。

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