賃料の決定と値上げ

 地代の額は、地主と借地人との合意によって定められますが、その算定方法の基準となる考え方がいくつかあります。
 ここでは、不動産鑑定評価基準が採用する方式を示しますが、これらはあくまで参考という程度のもので絶対的基準はありません。

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 積算式評価法 - 土地の底地価格(更地価格から借地権価格を控除したもの。更地価格の二〇%ないし四〇%)に正常な期待利回り(年一%ないし二%)を乗じて、これに固定資産税等の必要経費を加えたもの。この方式では地代が高すぎることが多く、修正が加えられることが多いようです。
 収益分析法 - 企業用不動産について、企業経営に基づく総収益から地代を算定するもので、計算が煩雑なためあまり用いられません。
 賃料事例比較法 - 同種の土地の他の事例を比較して、相場から算定する方法。
 以上を総合的に検討して実質地代を求めるわけですが、権利金や更新料等が授受されている場合は、その償却額を控除して実際の支払地代を求めることもあります。
 ほかに、民事調停等では、「公租公課倍数方式」がよく用いられますが、これは公租公課(固定資産税等)の二倍ないし三倍を地代とするもので、意外に応用範囲が広いようです。
 借地法一二条は、いったん地代を決めた後、借地の税金や価格が変勤し、その地代が近隣の地代に比して不相当になったときは、貸主または借主は将来に向かって地代の増減を請求できる旨を定めています。
 現在のように土地の値段が高騰している状況では、地主から借地人に対して値上げの請求をするというのが一般的です。
 この請求権は、特約によって排除できませんが、一定期間に限り地代を増加しない旨の特約は有効とされます(一二条一項但書)。
 地代の値上げ請求は、地主の借地人に対する一方的通知(口頭でもよい)によって効力を生じます。しかし、過大な値上げの場合は、適正額の限度でのみ効力が生じます。適正額は、最終的には裁判所が決定します。
 さて、借地人が地主の示した増額地代に不服の場合はどうしたらよいでしょうか。
 借地法は一二条二項で、地代の増額について、地主と借地人とで協議がととのわないときは、借地人は自分の判断で適正と思われる地代を、増額を正当とする裁判が確定するまで支払えばよい旨を定めています。この場合、裁判で適正な地代が確定したときは、増額請求の時に遡って、不足額に年一割の利息を付して支払う必要があります。
 これに対し、地主はどうしたらよいのでしょうか。地主は裁判所に対して、差額地代の支払や地代の値上げ確認の訴えを提起しなければなりません。この場合、いきなり訴訟にもち込まず、民事調停という手続で話し合いを進めることも一つの方法です。
 ところで、値上げ額に不服な地主に対して、借地人が適正と地代を持っていったのに、受領を拒否された場合はどうしたらよいでしょうか。この場合、地主が勝手に受け取らないのですから、そのまま払わずにおいても地主側から契約を解除されることはありません。ただ裁判で確定したあと、まとめて払うのが大変ですから、法務局に適正と思われる地代を供託したほうがよろしいでしょう。地主があらかじめ地代の受取りを拒否しないのに早合点して供託した場合は、供託原因がないので、弁済したことにならず、契約を解除されても仕方がありません。
 地主の立場に立ったとき、借地人が自分の要求した地代より少ない地代しかもってこない場合、受取りを拒否する例がよくありますが、地代の一部弁済と明示して(例えば領収証にその旨を書く)受け取れば、借地人の提供した地代を適正地代と認めたことにはなりませんから、紛争が続いている間提供した地代全額の受領を拒否する必要はまったくありません。
 借家の家賃の値上げの方法も地代と同様です。

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