借地借家と法律

 私たちが土地や家を貸したり借りたりする場合、借りる人と貸す人との間に合意(その土地を借りることと貸すこと)が存在することが前提となりますから、これはひとつの契約ということになります。契約関係を規律する基本的法律は民法ですが、中でも六〇一条以下の賃貸借の規定が重要です。

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 ところで民法は、互に対立する当事者(貸主と借主)が対等であるという考えが基本にあるため、弱い立場にあることが多い賃借人の保護に欠けることが多く、その賃借人を保護するため、さまざまな特別法が立法されました。
 主な立法としては、「建物保護二関スル法律」(明治42年)、「借地法」、「借家法」(大正10年)、「地代家賃統制令」(昭和21年)などがあります。特に借地法と借家法は、借地借家関係の大部分を規律していますので、ここでの内容もこの二つの法律に関するものが中心となります。
 ところで我が国では、土地と建物とは別々の取引の対象となり、借地関係と借家関係は法律的には別個の関係になりますが、外国の法律では両者が一体となって取引の対象となることが通常です。我が国では不動産の利用関係が、諸外国に比較して複雑にならざるを得ない理由がここにあります。
 戦前は、借地契約というのはなかり一般的でしたが、戦後まもなく住宅事情が変化するにしたがい、更地所有者が新たに借地契約を締結する例は最近ではほとんどありません。現在ある借地契約は、以前からの借地契約が続いているものが大部分を占めており、借地関係は減少の傾向(いいかえれば土地と建物の所有者が一致する傾向)にあります。
 これは、家を建てる人が自分の土地の上に建てたいというきわめて自然な動機から借地契約を回避するようになったこともありますが、借地法のたび重なる改正により借地人の地位がいちじるしく強化される一方、地主側にとっては、地価の高騰による固定資産説の上昇を地代の値上げでまかないきれないという状況があり、借地契約による地主のデメリットがきわめて大きいということが最大の理由と思われます。
 一戸建て住宅の取得が困難な現在、借地関係の減少とは反対に、借家に対する需要は相変わらず多く、借家をめぐるトラブルも少なからずありますが、とりわけ賃借人の金銭的負担をめぐる紛争が中心を占めます。
 家賃に関する紛争としては、増額請求に関するもの、地代家賃統制令に基づく値上げ拒否などがあり、契約更新における更新料・不動産屋の手数料等の問題、敷金・礼金・保証金の授受に関する紛争も頻発しております。
 マンションの管理をめぐる問題も新しいタイプのトラブルといえます。これは専有部分以外のエレベーター・廊下などの管理をめぐる問題です。
 これらの紛争の根元は、地価の高騰にあるというます。大都市では、持家の取得が難しく、借家(アパート)に頼らざるを得ず、また土地利用の効率をはかるためマンションなどの高層住宅が増加したためです。
 他人の土地を使用することを内容とする権利は借地権と呼ばれています。中でも重要なのは、他人の土地に自分の建物を建てることを目的とするもので、借地法はこの建物所有を目的とする賃借権(他に地上権もありますが一般的ではありません)に特別の強い内容を与えており、ふつうは借地法によって保護される賃借権を借地権といいます(土地を無償で借りる「使用貸借」は、借地法の適用がなく、借地権とはいえません)。
 借地権で重要なのは存続期間です。建物が建っている間は土地を使用できないと賃借人は非常な不利益を受けるため、法が特別長い期間(借地法第二条など)借地契約が続くように定めているほか、期間が終了しても建物が建っている限り原則として借地権は存続するように決められています。
 他人の建物を使用できる権利を借家権といいますが、借地権の問題と同じように借家法の適用の有無ということが重要な問題になります。
 借家法は八条で、一時使用のための賃貸借には借家法の適用がない旨規定しています。この一時使用とは、短期間の契約で、興業や避暑、療養などを目的とするものをいいますが、ある借家関係が一時使用にあたるか否かの判断は、必ずしもかんたんではありません。
 賃貸人は、当然のことですが、土地や建物を賃借人に引き渡す義務があるほかに、第三者が勝手に土地や建物を使用している場合、その者を排除する義務を負います。
 また、修繕義務も負いますが、修繕とは原状回復(もとの状態に戻すこと)を意味しますので、増改築などは含まれず、屋根替えの大修繕も含まれません。原因が天災などによる不可抗力でもその義務を負いますが、賃借人の責に帰すべき原因による場合は義務を負いません。さらに、修繕は賃貸人の権利でもあり、賃借人の意思に反しても建物などの保存のため必要な行為(例えば、家の中に立ち入るなど)をすることができます。なお、賃借人が賃貸人にかわって修繕費等を支出した場合は、「必要費」(民法六〇八条一項)として、賃貸人が支払う義務を負います。
 賃借人は家賃、地代を支払う義務を負いますが、この義務を怠ると契約を解除されることがあります。また、契約の際に敷金・礼金・権利金・保証金などの名目で一定の金銭を支払う義務を負うこともあります。そして契約が終了したときは、借りたときと同じ状況に戻して、土地や建物を貸主に引き渡す義務を負います。

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