国籍の取得と帰化

 個人が特定の国家の構成員であるための資格を国籍といいます。
 個人は国籍を有することによって、特定の国家の国民として処偶されることになります。
 戸籍は、身分関係を公証する制度であると同時に、日本国民であることを間接的に証明する唯一の資料です。
 戸籍に記載される資格のある者は、日本国民のみであり、いいかえれば日本国籍を持つ者はすべて戸籍に記載されることになります。
 ただし、日本国籍を有する者でも、天皇、その他の皇族は、唯一の例外として戸籍には記載されません。
 天皇及び皇族の身分に関する事項は、皇統譜に登録されることになります。

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 国籍の取得、喪失の決定は、その個人が属する国家の専権に属しており、それぞれめ国家が独自に国籍に関する国内法を定めて、それにより決定されることになります。
 各国の国籍法は、歴史的沿革や人口政策、その他政治的、経済的な事情などを考慮して独自に決定されており、国籍付与の態様も多種多様にわたっています。戸籍の記載は、真実に合致するものとして社会的に通用しています。
 我が国国籍法は、昭和25年7月1日に、「旧国籍法を廃止して施行されています。その後特筆すべき改正は行なわれぬまま最近に至っておりましたが、昭和60年1月1日施行の改正法により、従来の、父系優先め血統主義を、父母両系の血統主義に改める等の重要な改正がなされました。
 日本の現行法上、国籍の得喪は、婚姻、離婚、認知、養子縁組、離縁等の、いわゆる身分行為によっては左右にされず、国籍の取得ついては、出生、帰化及び一定要件のもとでの法務大臣への届出によって生じ、国籍の喪失については、外国籍の志望取得、外国籍の選択、日本国籍の離脱、日本国籍の不留保、日本国籍の不選択及び法務大臣の日本国籍喪失宣告によって生じるものとされています。
 子は、次の場合に日本国籍を取得し、日本国民となります。
 1. 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
 2. 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であるとき。
 3. 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
 以上のように、日本では、出生による、国籍の取得は、まず血統主義を採ることを原則としており(1.及び2.)、このことによって日本国籍を取得せず、結果的に無国籍となる場合に限って、補完的に生地主義を採用しています(3.)。
 従来は、出生の時に父が日本国民であるとき、子は日本国籍を取得するものとされ、父が知れない場合又は無国籍者である場合に限って、母が日本国民であるときに日本国籍を取得するとする父系優先の血統主義であったわけですが、これが父母両系主義に改められたわけです。
 つまり、出生の時に、父母の一方が日本国民であれば、子は出生よって、無条件に日本国民となるわけです。
 なお、例えば、外国人父、日本人母間に出生した子は、日本国籍を取得しますが、父の属する国の国籍法も血統主義を採るような場合には、父の国籍も取得するのが一般的と考えられますから(このことは父の属する国の国籍法いかんによります)、その子は日本と外国の二重国籍者となるでしょうし、あるいは、そのような子が、他の生地主義国で生まれたとされるようなときは、子は三重国籍者となることもあるでしょう。
 帰化による国籍の取得
 次の項で述べるる場合のほか、外国人(無国籍者を含む)が日本国籍を取得するのは帰化による場合です。帰化は、法務大臣の許可を必要とし、この許可は、法務大臣の専権事項とされています。
 法務大臣は、一定の条件を備えている外国人でなければ帰化を許可することができないとされており、この条件の差異により、普通帰化、簡易帰化及び大帰化(特別帰化)の三種に分けられます。このことを次に説明します。
 (1)普通帰化
 一、引き続き五年以上日本に住所を有すること。
 二、二〇歳以上で本国法によって能力を有すること。
 三、素行が善良であること。
 四、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
 五、国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと、
 六、日本国憲法や政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したり、またはそのようなことを企てたり主張する政党や団体を結成しり、それらに加入したことのないこと。
 なお、五の後段の条件は適用されないことがあります。
 (2)簡易帰化
 一、現に日本に住所を有する外国人で、日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有する者、日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父芳しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの、及び引き続き十年以上日本に居所を有する者については、一の条件が免除されます。
 二、日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、現に日本に住所を有するものについては、一及び二の条件が免除されます。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても同様です。
 三、日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの、日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、縁組の時本国法により未成年であったもの、日本の国籍を失った者(日本に帰化した後に本の国籍を失った者を除く。)で日本に住所を有するもの、日本で生まれ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上目本に住滸を有するものについては、一、二及び四の条件が免除されます。
 (3)大帰化(特別帰化)
 日本に特別の功労のある外国人については(1)の規定にかかわらず、国会の承認を得て、帰化を許可することができることとされています。
 帰化しようとする者は、帰化に必要な条件を備えていることを証するに足りる書類を添えて、その者の住所地を管轄する法務局、地方法務局又はその支局に出向き、法務大臣あての帰化許可申請をしなければなりません。なお、申請手続きをする前に、法務局で相談するとよいでしょう。
 法務大臣が帰化の許可を行えば、その旨が官報に告示され、告示の日から日本国民となります。
 改正国籍法(経過的措置法を含む)には、日本国民と一定の身分関係を有する外国人、あるいはその者がかつて日本国民であった者で、一定条件を有する外国人については、帰化を要することなく法務大臣へ届出をするこによって日本国籍を取得(後者の場合は再取得)する制度が設けられています。以下説明します。
 事実上の父を日本人として、外国人母から出生した子について、出生後父の認知及びその父と母の婚姻がなされ、準正嫡出子の身分を取得した二〇歳未満の子は、その父が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届出をすることによって、日本国籍を取得することができます。改正国籍法施行前に、日本人である母と外国人である父との間に出生した子で、昭和40年1月1日以後に生まれた者は、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、改正法施行の日から三年以内に限り、法務大臣に届出ることによって、日本の国籍を取得することができます。
 なお、このことによって日本国籍を取得した者の子についても一定要件のもとに、法務大臣に届出を日ることによって日本国籍を取得することができます。日本国籍を留保しなかったことにより、国籍を喪失した者、及び日本国籍の不選択により国籍を喪失した者の国籍の再取得の制度が認められています。

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