氏と名の知識

 人は誰でも名前(姓名)を持っています。名前を持っていない人は皆無でしょう。
 法律では、人の姓(苗字)を氏(うじ)とよび、名前を名(な)とよんでいます。
 この氏と名が結合して、個人が特定され、他人と区別するという役割を果たすことになります。
 氏と名は必ず戸籍に記載され、後で述べますように、よほどのことがないかぎり、変更や訂正は許されません。
 この項では、氏と名は、法律上はどういった仕組みになっているのか、説明を加えてみたいと思います。

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 氏は、日本国民である限り民法上親子という身分関係に基づいて、出生の事実によって当然に定まることになります。
 嫡出である子は父母の氏を称します。なお、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚当時の父母の氏を称します。嫡出でない子は母の氏を称します。
 民法の規定によって氏を決定できない場合は、氏の選択が自由に認められ、新たな氏が創設されることになります。
 捨子のため父母が不明である場合は、市区町村長が氏を定めます。なお、その後に父母が判明すれば。出生によって当然に取得した父母の氏を称する戸籍の訂正の手続きがとられることになります。
 父母の不明な就籍者、帰化者、夫婦が同時に帰化する場合や、日本人の配偶者が帰化した場合には、夫婦同氏の原則から、帰化申請の際にいずれかの氏を称することとなります。
 親子が同時に帰化した場合や、父母が日本人で帰化した場合は、子が父母と異なる氏を選択しない限り父母と同一の氏を称することになります。
 旧国籍法当時、婚姻や縁組によって日本の国籍を取得した者が、現行国籍法になって離婚や離縁をした場合は、氏を創設します。
 日本人と婚姻や縁組をしている外国人が帰化した後に離婚、離縁する場合にも、復氏、復籍する戸籍はないので、新しい氏を創設することになります。
 子の名に用いることができる文字は、法務省令(戸籍法施行規則第六〇条)で制限されており、注意を要します。
 1. 常用漢字表に掲げる漢字
 2. 人名用漢字別表に掲げる漢字
 3. 片仮名、または平仮名(変体仮名は除く)及び、附則別表(人名用漢字許容字体表)に掲げる漢字とされており、読み方については特に制限はありませんが、意味がいちじるしく変わったり、名乗りの範囲を超えるような読み方は、たるべくしない方がよいでしょう。
 氏を変更するには、戸籍の筆頭者及びその配偶者から、住所地の家庭裁判所に申立てて許可を得なければなりません。
 氏を変更するには、「止むを得ない事由」がある場合に限定されており、名の変更が、「正当な事由」とされているのと比較すると氏の変更よりも厳格に審査されています。「止むを得ない事由」とは、珍奇なもの、難解、難読を基準としたものが審判例には多くみられます。
 氏変更の交力発生時期は、裁判所の許可があっても、直ちに効力が生ずるものでなく、氏変更の届出が受理されたときから発生します。
 一般の氏変更の手続きについては、家庭裁判所の許可を得てするのが原則ですが、外国人とした者が、その氏を外国人配偶者の称している氏に変更しようとするときは、婚姻後六ヵ月以内に限って、家庭裁判所の許可を得ないで、氏変更の届出をすることができる特例が認えられています。
 なお、この特例によって氏を変更した者が外国人配偶者の死亡、離婚等によって婚姻が解消された場合には、婚姻解消の日から三ヵ月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないでもとの氏に変更する届出ができます。
 父又は母の一方を日本人とする国際結婚によって生まれた子は、日本国籍を取得しますから、日本人である父又は母の氏を称して、その戸籍に入籍することとなります。しかし、場合によっては、外国人である親の氏を称したいとする必要が生じることがあるでしょう。
 このような場合、子は氏変更の一般原則によって手続きをする必要がありますが、この手続きは、戸籍の筆頭者に限って(ただし配偶者のある場合はその者と共にする)認められるものですから、父又は母の戸籍に入籍している子は、分籍して自ら戸籍の筆頭者となれる二〇歳に達するまでは、氏変更の手続きができないことになってしまいます。
 このようなことから、改正法では父又は母が外国人である子が、その氏を外国人父又は母の氏に変更しようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、氏変更の届出ができることとされました。この届出をすると、子について新戸籍が編製されます。

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