戸籍の知識

 人は、生まれてから死亡するまでの一生の間に、さまざまな身分関係、例えば、親子関係、夫婦関係、親族関係などを経ることになります。
 戸籍は、国民についての、こうした身分関係を、公の帳簿に記録し、これを公証するという重要な役割を果たしています。
 ここでは、一般社会人として、どうしても知っておかなければならない戸籍の知識について説明を加えてみたいと思います。

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 もし私たちに、国籍や身分関係を証明してくれる制度的なものがなかったとしたらどうなるでしょうか。いろいろと不便なことが多くなるに違いありません。
 外国旅行のため旅券申請を行う場合は、日本人であることを証明しなければならず、親の遺産を相続する場合でも、子であることを立証する必要が生じてきます。また、夫の死後、残された妻が生命保険金を受領する場合や、遺族扶助料や各種年金を請求するときでも同じことがいえます。
 戸籍は夫婦、親子という身分関係や、これらに変動のあったことを証明する唯一の公文書です。
 外国人であれば戸籍には記載されませんので、戸籍に記載されている者は日本国籍を有する者であるという一応の証明がつくことになります。
 戸籍の記載事項は通常、婚姻届、出生届、死亡届などの届出によって、本籍地の市区町村役場に保管されている戸籍に、その内容を一定の記載例にしたがって記入されます。
 (1)本籍欄
 筆頭者氏名欄とともに、「戸籍の表示」として戸籍を特定するための記載です。
 (2)筆頭者氏名欄
 戸籍の筆頭に記載された者の氏名を記載し、本籍欄とともに戸籍の表示となります。
 (3)戸籍事項欄
 戸籍内の各人に共通な戸籍全体に関する事項が記載されます。
 以前、新戸籍を細叙する理由を記載することとされていましたが、プライバシー保護の観点から昭和54年に改正され、現在は理由を記載せず、単に年月日編制と記載されます。
 (4)身分事項欄
 各人の身分に関する事項が記載されます。
 (5)父母欄
 実父母の氏名が記載されます。嫡出でない子で父の認知がない子については、父欄が空欄となり、認知があったときに父の氏名が記載されます。父母の氏が同じであるときは、母の氏は省略され記載されません。
 (6)父母との続柄欄
 実父母との続柄が記載されます。父母双方を同じくする者については、男女別に出生順序によって記載されます。嫡出でない子については、父の認知の有無に関係なく男女別に「男」「女」と記載されます。
 (7)養父母欄
 この欄は、あらかじめ設けず、その記載を要するつど設けて、養親の氏名を記載します。養親と養子が戸籍を同じくすると否とを問わず記載されます。養親が一方のときは、その一方のみが記載されます。
 (8)養父母との続柄欄
 養父母欄とともに特設し、養父母との続柄が記載されます。この場合、養子が男のときは「養子」、女のときは「養女」と記載されます。
 (9)配偶者欄
 戸籍様式にはなく、婚姻の記載をする際に設けて「夫」または「妻」と記載されます。
 (10)名欄
 氏は記載されず名のみ記載されます。名の変更があった場合は、本人の身分事項欄に届出事項を記載し、名欄の記載が訂正されます。
 (11)出生年月日欄
 出生事項中の出生年月日と必ず一致した記載がされます。出生年月日が推定されるような場合(棄児)でも「推定」の旨の記載はされません。
 本籍とは、人の戸籍上の所在場所です。本籍は戸籍を編製する基準となるもので、日本国民に関する戸籍の届出がどこに出されても、本籍と定められた場所のある市区町村に送られ、戸籍に記載される仕組になっています。
 本籍は市区町村の区域内に定めるものですから、日本国の領土内の一定場所でなければなりません。日本国の領土内であれば、現実の生活関係とは無関係に、どこにでも自由に定めることができます。
 しかし、日本国の領土内であっても、行政区画の定められていない場所に本籍地を定めることはできません。
 本籍は、戸籍の編製基準の対象とたっていない外国人には定めることができません。日本国民のみが本籍を定めることができ、また、外国に居住する日本人であっても、すべて戸籍は銅製されることになります。
 本籍は重復して持つことは許されません。本籍が重復している場合(片方が除籍されないで残っていような場合・復本籍)は、戸籍訂正の手続きにより、誤って記載された戸籍を消除しなければなりません。
 戸籍の編製は個人別ではなく、一組の夫婦と、夫婦と氏(姓)を同じくする子をもって編成されることになります。また、現実の生活とは無関係な人の戸籍上の所在場所ですので、他人と同じ場所に定めてもかまいません。
 本籍の表示は、地番号、住居表示(街区符合の番号)のいずれも表示できます。 街区符合を用いる場合は、○○丁目○○番までで、号の表示はできません。
 戸籍というのは、一つの戸籍の編製された時点から現在に至るまでの身分関係が記載されているものをいいます。
 これに対し、ある者を戸籍から除くことを除籍といいます。戸籍に記載されている者が死亡したり、婚姻、分籍などにより、その戸籍から全員が除かれてしまった場合、及び転籍により本籍を移した場合、このほか、制度により改製する場合など、その戸籍は除籍となります。
 戸籍は、編製されたときから除籍になったときまでの間の、過去の身分関係を明らかにする重要な帳簿です。ですから、戸籍簿は、除籍になった翌年から八〇年間保管されます。
 謄本とは、その戸籍の全部を謄写して発行されるもので、その戸籍に記載されている者全員の身分関係が明らかになります。
 抄本とは、その戸籍にある特定された者についての身分関係のみを謄写して発行されるものです。
 この場合、本籍、筆頭者、戸籍事項欄、請求者の身分事項が証明されます。
 戸籍の謄抄本または記載事項の証明書の請求は、「何人でも、手数料を納めて請求することができる」と定められており、公開が原則です。
 したがって、戸籍に記載されている本人はもとより、その戸籍に記載されていない者であっても、請求することができます。しかしこの場合、法務省令で定める場合を除き、請求者はその請求の理由を明らかにしなければなりません。請求の理由が不当な目的である場合には、市区町村長はその交付を拒むことがあります。
 不当な目的とは、例えば、嫡出でない子であることや、離婚歴など、他人に知られたくないと思われる事項をみだりに探索したり、公表するなどのプライバシーの侵害につながるものや、戸籍の記載事項を手がかりとして同和地区出身者であるか否かを調査するなどの差別行為につながるものなどは、戸籍の公開制度の趣旨を逸脱して、謄抄本などを不当に利用する目的といえます。
 謄抄本などの交付手数料に加えて郵送料を納めれば、送付してもらうことができます。
 除かれた戸籍(除籍)については、原則として非公開であり、誰でも請求することはできません。
 これは、個人のプライバシーを保護する必要があることや、また通常、社会生活上証明を必要とする身分関係は、現在の身分関係であって、除かれた戸籍によって過去の身分関係まで必要とするのは、相続関係の証明など、極めて限られた場合であるからです。
 そのために、請求権者は一定の範囲の者に限定されています。

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