相続人

 先日、祖父がガンで死亡しました。祖父には三人の息子と二人の娘がいますが、長男である私の父は五年前、やはりガンのため死亡しています。このような場合、父に代わって孫である私が相続人として祖父の財産の一部を受継ぐこと(代襲相続)は可能なのでしょうか。ちなみに、祖父は遺言を残しておりません。

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 相続とは、前述したように被相続人の有していた財産が一定の近親者に引き継がれることをいいます。この場合、相続人となり得る人の範囲は法律で厳格に定められており、次の者たちが被相続人の財産を引き継ぐ相続人となります。
 (1)配偶者
 生存配偶者は、常に相続人となります。ただし、(2)で述べる血族相続人がいる場合には、この者たちとともに共同相続人となります。
 なお、配偶者とは婚姻関係にあるものに限られ、内縁関係にある者はこの際配偶者としては認められません。
 (2)血族相続人
 被相続人と一定の血縁関係にある者をいいます。血族相続人については血縁の深さにより順位がつけられており、先順位の相続人がいれば後順位の相続人は相続することができません。ちなみに、順位は次のとおりです。
 第一順位 被相続人の子をいいます。子は実子・養子を問いません。また、胎児も相続についてはすでに生まれていたものとみなされます。
 第二順位 被相続人の直系尊属をいいます。直系尊属の中でも、一番先に相続するのは被相続人の父母です。父母がすでに死亡しているときは祖父母が相続します。
 第三順位 被相続人の兄弟姉妹です。
 相続人となり得べき者が被相続人よりも先に死亡しているとき、すなわち父より子が先に死亡しているようなとき、相続人についてはどのような規定が設けられているのでしょうか。その子に子供(すなわち孫)がいるときには、孫が子に代わって相続人となります。これを代襲相続といいます。代襲相続は兄弟が相続するときにも認められ、この場合にはおい・めいが相続します。なお、子についての代襲相続は孫の子(つまりひ孫)以下順次生じますが、兄弟相続の場合には代襲相続権者はおい・めいまでに限られ、その子には代襲相続権は認められません。
 代襲相続は、相続人が被相続人より先に死亡した場合のほか、相続人の欠格・廃除についても生じますが、相続の放棄の場合には代襲相続は生じません。
 相続権が認められない場合
 (1)相続欠格
 相続人の相続権をはく奪する制度を相続欠格といいます。配偶者や一定の近親者が相続人となるのは、この者たちが破相続人とともに家族協同生活を営んでいたと考えられているからです。このため、共同生活関係を破壊するような者に対しては相続権を認める必要はないといえます。そこで民法は、相続における共同生活関係を破壊する重大な理由として以下のものをあげ、これらの行為をした者については相続権を否定するよう定めました(民法八九一条)。
 被相続人または自分より先順位、もしくは同順位の相続人を故意に殺し、または殺そうとしたため刑に処せられた者。
 被相続人の殺されたことを知っていながらその犯罪を告発、または告訴をしなかった者。
 詐欺または強迫によって被相続人の遺言、あるいは遺言の取消し・変更を妨げた者。
 詐欺強迫によって破相続人の遺言、あるいは遺言の取消し・変更を強要した者。
 被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した者。
 以上五つの項目に該当する者は、相続欠格と判断され、相続人としての資格を剥奪されます。
 (2)相続人の排除
 被相続人との家族共同関係を破壊する者に対して、被相続人の意思で相続権を否定することを相続人の廃除といいます。
 廃除するためには、相続人が被相続人に対して虐待、または重大な侮辱を加えたとき、相続人にいちじるしい非行のあったとき、の以上二つの要件が必要となります。
 廃除することのできる相続人は、遺留分を有する推定相続人に限られます。それ以外の者が推定相続人のときは、遺言により相続分をゼロにすることができますから、わざわざ廃除の手続をとる必要がありません。
 廃除の手続は、被相続人が生存しておれば被相続人が家庭裁判所に請求します。また遺言で廃除の申立てをする場合は、遺言執行者が請求の手続をすることになります。
 なお、廃除は被相続人の意思で相続人の相続権を否定するものですから、被相続人が相続人を許し相続権を認めようとするときは、いつでも廃除の取消しを家庭裁判所に対し請求することができます。当然、遺言による取消しもできます。
 被相続人の相続財産を承継すべき相続人が存在しない場合、被相続人と特別縁故のあった者は、家庭裁判所に対して財産の分与を請求することができます。特別の縁故者とは、内縁の妻のように被相続人と生計を同じくしていた者、あるいは被相続人の療養看護に努めた者などをいいます。
 なお、分与の請求を受けた家庭裁判所は、請求の内容を検討し、財産の全部または一部を特別縁故者に対して分与することができます。

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