相続の基本

 相続とは、被相続人が死亡したとき、被相続人の有していた一切の財産的権利義務が相続人に、当然に包括的に引き継がれることをいいます。
 相続は、被相続人の死亡によって開始されます(民法八八二条)。つまり、被相続人の死亡が相続開始原因となるわけです。また死亡とは、自然死ばかりでなく、失踪宣告により死亡したとみなされる場合も含まれます。
 以上のように、相続は被相続人の死亡により開始されるもので、相続人が死亡の事実を知っていたか否か、あるいは死亡届が出されていたかどうかは相続の開始とは関係ありません。

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 相続は、前述したように被相続人の有していた一切の財産上の権利義務が相続人に引き継がれるものです。しかし、被相続人の財産が資産より負債の方が多いとき、いいかえれば借財を負ったまま相続が開始されたときに、相続人がこれを相続をしなければならないとすれば、何とも酷な結果とたってしまいます。
 そこで相続を欲しない相続人は、相続を放棄することによってはじめから相続人とならなかったものとすることができます。
 なお相続放棄の手続は、相続の開始があったことを知ったときから三ヵ月以内に、家庭裁判所に放棄を申述しなければなりません。
 (1)限定承認
 限定承認とは、相続人が相続を承認するが、相続債権者または受選者に対する責任は、相続財産の限度内で負担する、というものです。例えば、被相続人の財産が資産一〇〇〇万円、負債が三〇〇〇万円の場合を考えてみましょう。限定承認すると、相続人は負債三〇〇〇万円を承継しますが、資産一〇〇〇万円の範囲で責任を負えばよく、不足分二〇〇〇万円については自己の財産を提供する必要はありません。
 限定承認の手続は、相続放棄の場合と同様に相続の開始があったことを知ったときから三ヵ月以内に財産目録を調整し、これを家庭裁判所に提出して、限定承認の申述をしなければなりません。
 なお、相続人が数人いるときは、相続人全員が共同で限定承認をすることが必要です。一人でも限定承認に反対すれば、限定承認は成立しません。
 (2)単純承認
 単純承認とは、相続人が被相続人のすべての権利義務を承継するものです。この場合、相続財産について負債が多いときにも、相続人は自己の財産をもって負債を弁済しなければなりません。
 現行法上では、単純承認が相続の基本とされており、単純承認をするには何の手続もいりません。
 なお、以下にあげる一定の事実のある場合は単純承認したとみなされ、相続人は単純承認者としての責任を負わなければなりません。これを法定単純承認と呼びます。ある一定の事実とは、相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから三ヵ月以内に、限定承認または放棄をしなかったとき、相続人が、相続財産の全部または一部を隠匿ないしは消費したとき、相続人が、相続財産の全部または一部を、限定承認の際に提出する財産目録に記載しなかっ、たとき、の以上四つです。
 他人が相続人の相続を否定し、相続人に帰すべき相続財産の全部または一部を占有するとき、相続人は遺産を占有する者に対して、侵害された相続権の回復を求めることができます。これを「相続回復請求権」といいます。
 例えば、被相続人に第一順位の相続人がいないと仮定してみましょう。この場合、第二順位の相続人である直系尊属が、被相続人の財産を相続します。しかし、その後非嫡出子の存在が判明し、認知の訴が認められ、その者が死亡した被相続人の子となったときは、その子から直系尊属に対しては当然に相続回復請求の行使がなされると考えるべきでしょう。

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