後見とは

 私の孫はこの春小学校にあがったばかりですが、その後もまなくして起こった交通事故のため両親が一時にして失ってしまいました。
 このため、後見人には母方の祖父がつくことになりましたが、この人物がとかく悪い噂の持主で、息子の残した財産を不正に使い込んでいるとの話もきき心配でなりません。何かよい対策を講じたいと思っているのですが、どうしたらよいでしょうか。

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 後見は、親のない未成年や禁治産者のために、国家的監督のもとに身分上及び財産上の保護を行うことを目的とする制度です。
 したがって、後見は、未成年者に対し親権を行う者がまったくいない。親権者が心神喪失、重病、長期不在、所在不明などにより親権を行うことができない。親権者が禁治産の宣告を受けた、などのときにはじめて開始されるものです(民法八三八条)。
 (1)後見人の指定
 後見の機関には、執行機関としての後見人と、監督機関としての後見監督人及び家庭裁判所とがあります。そして後見人は必須のもので一人に限られています(民法八四三条)。
 後見人の指定は、親権を行う者からの遺言で指定される場合(これを「指定後見人」という)と、被後見人の親族などからの請求で家庭裁判所によって選任される場合(これを「選定後見人」という)とかあります。
 なお、夫婦の一方が禁治産宣告を受けると、他の一方が法律上当然にその後見人となります。
 (2)後見人の資格
 後見人は、被後見人の身分上及び財産上の保護をはかるために、ある一定の必要な能力をそなえていなければならないとされています。このため未成年者、禁治産者、破産者などは後見人となることができません(民法人四六条)。
 (3)後見人の辞任・解任
 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(民法八四四条)。
 また後見人に不正な行為、いちじるしい不行跡、その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は後見監督人、被後見人の親族などからの請求によって、または職権で後見人を解任することができます(民法八四五条)。
 後見人が被後見人の財産を着服する、あるいは必要な身上監護を怠ったりした場合はもちろん、後見人としての職務を遂行できない事由がある場合も同様です。
 後見人を監督する。後見監督人
 後見人とは、被後見人の財産を預りているにすぎない存在です。もちろん、勝手気ままにこれを使ってよいわけはなく、被後見人の養育に必要な範囲でしかこれを使うことは許されていません。
 仮に、後見人が不正に被後見人の財産を使っているとしたら、当然刑法の規定に触れることになり、この者は横領罪ないしは背任罪に問われ処罰されることはいうまでもありません。
 しかし、このような争いは多くの場合親族同士で行われるため、後味の良いものではありません。そこで、事前に何らかの対策を立てることは賢明なことといえるでしょう。
 (1)後見監督人の資格
 もっとも最良の方法は後見監督人を置くことです。後見人は、子の財産管理や一身上のことがらを処理するに際し、法律で決められている重要な事項については後見監督人の同意を必要とするのをはじめとして、事務処理の報告義務が課せられるなど、子のために慎重に行動することが要求されます。
 以上のことから、後見人を定める際、後見監督人を併せて指名しておけば、後見人が子に対して不利益な行為をするのを防ぐことができるといえるでしょう。
 なお後見監督人を指定する場合、後見人になることができない者はもちろんのこと、後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹なども後見監吾人になる資格がないので注意が必要です。
 (2)家庭裁判所が後見人を監督
 戦前の民法では、親族会が後見人を監督する仕組になっていました。しかし、現在の民法では、子を保護するという趣旨から、家庭裁判所にも後見人を監督する権限を与えています。
 このため、利害関係が取り沙汰される親族よりも、家庭裁判所に後見人の監督をしてほしいと申し立てることは賢明な策ということができるでしょう。
 家庭裁判所だと、後見人に対しいつでも必要に応じて後見事務の報告を求めることができますし、調査官による加回の調査によって財産状況や監護状況などを調べ、後見人に対して必要な処分を命じることもできます。
 以上のことから、家庭裁判所が具体的事情に応じて後見人に適切な指示を与えたり、後見人の職務の執行を停止させたり、代行者を選任したりというように、かなりきめの絹かい措置をとることができるということが理解できたことと思います。
 (3)後見監督人の職務
 後見監督人の具体的な職務は以下のとおりです。後見人の事務を監督をする 、後見人が死亡した場合、すみやかにその選任を家庭裁判所に請求する。後見人がいない、あるいはいてもその事務を行い得ないとき、急を要する事務があればその権限でもって必要な処分を行う。後見人と被後見人の利益が相反する行為があったとき、被後見人を代理し、またはこれに同意を与える。
 なお、これらの職務を怠る者は後見監督人の任務に適さないと判断され、解任されることもあります。
 (4)後見監督人の任命は早急に行う
 後見監督人は、通常は必要でない場合が多いといえます。しかし、後見人が被後見人の不動産を譲り受ける、あるいは新築・増改築をしたりというように、利害が対立する行為が割とよく見受けられるので、なるべく早い時期に後見監督人を決めておくにこしたことはありません。
 とくに後見人が不正を働くおそれがある場合には、被後見人の親族や利害関係人は家庭裁判所に申請して、早急に後見監督人を任命してもらう必要があります。
 後見人の事務内容は、おおむね親権者の場合と同じです。ただ後見人特有の義務として、後見人は被後見人の財産と混合しないように就任後一ヵ月以内に被後見人の財産を調査し、その目録を作製したり(民法八五三条)、あるいは被後見人の生活・教育及び財産管理のため毎年費すべき金額を予定する、などの義務があります(民法八六一条)。
 そのほかにも、被後見人との財産関係をつねに明確にしておく必要があること(民法八五五条、八五六条、八六六条)、あるいは後見監督人がいるときは、事務を行うに際してその立会または同意を必要とする場合があること(民法八五三条二項、八五七条但書、八六四条、八七一条)などが親権者の事務内容と異なるところです。
 後見が終了(後見人の破産のほか、終了事由は親権の場合と同じ)すると、後見人(死亡のときはその相続人) は財産管理の計算をし、計算後の返遊金には利息をつけなければならないことになっています(民法八七三条)。
 なお、後見人は親権者と異なり、いかなる場合にも被後見人の財産を収益する権利が許されていません。このため、被後見人の教育費用、財産管理費用と収益とは正確に差し引き清算する必要があるわけです(民法八七〇条)。

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