どのような場合に裁判で離婚が認められるか

 私たち夫婦は結婚して二〇年になります。しかし、夫は数年来の女遊びがこうじ、最近は家に帰ってくることもほとんどありません。子どももすでに働いていることから、私もこのへんで自分自身のためにだけ生きようと、離婚を決意いたしました。しかし、夫は離婚に同意してくれません。このような場合でも、離婚が認められるでしょうか。

スポンサーリンク

 法律が定めている離婚原因、民法七七〇条一項は、次の1.から5.にあたる場合には離婚訴訟で離婚が認められると定めています。
 1. 配偶者に不貞行為があったとき
 2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
 3. 配偶者の生死が三年以上不明のとき
 4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき
 5. その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
 しかし、このうちどれか一つにあたる事実があったとしても、必ず離婚できるとは限りません。1.から4.までにあたる事実があっても「一切の事情を考慮して、婚姻の継続を相当と認めるとき」は、離婚は認めらられません。しかし、法律がとくに定めている離婚原因にあたる事実があるのに、裁判所の自由な裁量で離婚の請求を認めないとするのは問題です。このため、1.から4.の離婚原因にあたる事実を狭く解釈しつつ、その事実があれば原則として離婚を認めるべきだとされています。では次に、ここにあげた離婚原因について説明していくことにしましょう。
 1. 不貞行為
 不貞行為とは、夫婦の一方が貞操義務に違反する行為をいいます。もちろん、夫も妻も平等に考えられるべきです。では、同性愛などはこれにあたるのでしょうか。また、夫がわいせつ行為をした場合はどうなのでしょうか。どちらの場合も「不貞行為」にはあたらないとされています。
 先ほど述べたように、1.から4.の離婚原因は狭く解釈すべきとされており、「不貞行為」とは、男女間に限るとされているからです。この場合は、5.であげた「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」という離婚原因にあたる場合がありうるということです。
 2. 悪意の遺棄
 悪意の遣棄とは不当に夫婦間の同居、協力、扶助義務を怠っている場合を意味します。具体的には、相手を置き去りにして家出する。相手を追い出す。相手が家から出ざるをえないようにした上戻るのを拒む。仕事の関係などで別居している場合に生活費を送らない。などの場合です。ただ、これにあたるとされるには、ある程度の期間、このような状態が続くことが必要とされます。
 3. 三年以上の生死不明
 この場合は、相手の生死不明の状態が三年以上続いていることが要求されます。三年以上家出しているが、相手の消息がわかっている場合はこれに合まれません。判決離婚の中では、これを離婚原因とするものがもっとも多く、全体の約五割を占めています。
 これを離婚原因として離婚を求めるときは、すでに述べた調停前置主義の例外として、あらかじめ調停を申し立てることは必要でなく(相手の生死、所在が分らないので調停ができないためです)、ただちに離婚訴訟を起こすことができます。
 なお、この場合には、公示送達という方法によって相手に訴状が届いたものとして訴訟が進められることになります。
 4. 回復の見込のない強度の精神病
 単に精神病であるというだけでは離婚は認められず、非常に重い精神病で、回復の見込がないものに限られます。しかも、離婚した後、精神病である相手方の療養・看護や生活がその親族などによって保障されているかどうかが、離婚を認める上で重要な要素として考慮されます。
 5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由
 最初に述べた1.から4.の離婚原因と並べて主張されることが多いものですが、これだけを主張する場合もあります。もっとも多い例は、夫の暴力です。また、嫁としゅうとめの間の対立など、一方の親族との不和を理由とする場合もこれにあたります。そのほか、夫が長年刑務所に入っている場合、犯罪をくり返す場合、異状な性関係を妻に強要した場合、病気や交通事故によって性生活が不可能になってしまった場合などもこれにあたる場合があります。
 なお、妻が新興宗教の活動に熟心なあまり、夫を放りっぱなしにしていたため、夫婦関係が破綻してしまったという事例で、夫からの離婚請求を認めた判例がいくつか出ています。
 つまり、全体として見たときに、夫婦生活が破綻してしまっており、これ以上婚姻生活を維持することは不可能であると判断された場合にのみ、離婚が認められるわけです。単に子供ができないとか、性格の不一致ということだけでは離婚は認められません。

冠婚葬祭
婚約の成立と解消/ 結婚の成立/ 夫婦間の法律関係/ 内縁の夫婦/ 離婚状況とその歴史/ 離婚の方法/ どのような場合に裁判で離婚が認められるか/ 協議離婚の無効と取消/ 離婚と財産関係/ 離婚と子供/ 財産分与、慰謝料は課税されるか/ 親族の範囲/ 実子とは/ 養子とは/ 親権とは/ 後見とは/ 扶養とは/ 死の判定/ 認定死亡と失踪宣言/ 位牌や遺骸などの承継/ 死後の人格権/ 相続の基本/ 相続人/ 相続分/ 遺産の分割/ 遺留分/ 寄与分制度/ 贈与・遺贈/ 遺言の方式と執行/ 戸籍の知識/ 戸籍のしくみ/ 氏と名の知識/ 国籍の取得と帰化/ 国籍の喪失/ 戸籍の訂正/ 住民登録/

        copyrght(c).冠婚葬祭専科.all rights reserved

スポンサーリンク