離婚の方法

 結婚して一〇年になりますが、子供もいません。最近、どうも夫としっくりいかず、離婚についても無関心でいられなくなりました。離婚するにはどのような方法があるのか、あるいはどのような手続きが必要なのでしょうか。

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 離婚の方法としては、全部で四種類あります。
 「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「判決離婚」の四種類がそれです。
 このうち「協議離婚」は夫婦の合意のみで離婚できるもので、離婚全体の約九割を占めています。そして、すでに述べたように、これは他国にほとんど例をみない制度です。その他の三種類の離婚は、いずれも「裁判上の離婚」といわれるもので、裁判所が関与して離婚が成立するものです。
 「協議離婚」と「裁判上の離婚」との大きな相違点として、いつ離婚が成立することにたるかということがあります。「協議離婚」では、夫婦の間に離婚の合意が成立しただけでは離婚が成立したことにはならず、離婚の届出によってはじめて離婚が成立します。
 これに対し、他の三種類の「裁判上の離婚」では、調停の成立、審判、判決の確定によって当然に離婚が成立します。「裁判上の離婚」でも離婚の届出をする必要がありますが、この届出はすでに離婚が成立していることを報告するものにすぎません。したがって、届出をすることによりはじめて離婚が成立する協議離婚の届出とは、届出の性質が違っています。
 では次に、四種類の離婚方法について説明していくことにしましょう。
 協議離婚は、夫婦が離婚することに合意し、離婚届を市区町村役場に提出して受理してもらうことによって成立します。したがって「離婚の合意」と「届出の受理」の二つが必要とされるわけです。
 離婚の合意は、自分がしていることの意味がわかる能力(意思能力)さえあれば、誰でもすることができます。売買契約などの財産上の行為は単独ではできないことになっている禁治産者(指事を判断する能力がふだん無いため、家庭裁判所から禁治産宣告を受けている者)なども、離婚の合意の際にその意味がわかっていれば、単独でもすることができます。なぜなら、離婚は身分上のことだからです。
 離婚の合意について問題となるものに、仮装離婚があります。仮装離婚とは、夫の財産に対する差押えを免れるため離婚届を出して、妻名義の財産にする場合などのように、実際は離婚する意思はないのに、他の目的のために離婚を仮装することをいいます。これについては反対説もありますが、判例は「離婚の合意」は「離婚届をする合意」があればよいとして、仮装離婚の場合も離婚は有効に成立するとしています。
 しかし、夫が仮装離婚を利用してほかの女性と結婚してしまったという例もありますので、妻としてはくれぐれも慎重を期す必要があります。
 離婚の届出は口頭でもできますが、普通は届出書を提出します。この届出書は、役所に備えてある届出用紙に協議離婚であること、子どもの親権者に誰がなるかなどを書いて、夫婦と成年の証人二人が各自署名捺印することが必要です。
 届出する場所は、本籍地か夫婦のどちらかの所在地にある市区町村役場です。本籍地で届出するときは届出書一通だけ出せばよいのですが、本籍地以外で届出するときは届出書が二通か三通必要で、そのほかに戸籍謄本も添えて出さねばなりません。届出書の署名は本人自身がする必要がありますが、提出は夫婦の一方や第三者に頼んでしてもらうこともできますし、郵送でもかまいません。
 届出書に夫婦が署名捺印した後、届出をする直前に夫婦の一方が死亡したときはどうなるのでしょうか。原則として、届出当時、夫婦の双方が生存していないと届出書は受理してもらえず、かりに受理されても無効とされます。したがって、この夫婦は離婚したのではなく、死別したことになり、生存している配偶者は相続権があることになります。
 ただし、これには例外があります。それは郵送で離婚届を出したときです。夫婦の双方が生存中に郵送した場合は、役所に届いたときに夫婦の一方が死亡していても、離婚が有効に成立することになっています。
 夫婦の一方が離婚を承諾しないときや、財産分与、親権者などの離婚条件で話しがまとまらないときは、家庭裁判所に離婚の調停(親権者の定め、財産分与も含め)を申し立てることができます。家族関係の事件については「調停前置主義」といって、原則として訴訟を起こす前に、調停を申し立てなければならないことになっています。調停の申立ては、相手方の住所地か夫婦が合意して決めた地にある家庭裁判所にすることになります。調停中立の費用は、九〇〇円の印紙と約一〇〇〇円分の切手を納めるだけでよく、費用の点からも容易に申立てることができます。
 調停の結果、夫婦間に離婚や離婚条件について合意ができると、調停調書という書面に合意の内容が書かれます。そして、これによって調停による離婚が成立します。
 なお、調停を申し立てた者は一〇日以内に戸籍上の届出をしなければなりませんが、すでに述べたように、この届出は審判離婚、判決離婚の場合の届出と同じく、単に報告的なものにすぎません。
 この調停による離婚は、離婚全体の約一割を占めています。
 調停を申立てても、夫婦間に離婚の合意が成立しないときは、調停は不成立になり、調停手続は終了します。
 しかし、同じく調停不成立となったときでも、夫婦間に離婚自体の合意はできているが、財産分与や親権者の定めについて話がまとまらないため、結局、離婚についての調停が成立しないという場合もあります。せっかく裁判所が努力したのが無駄になるだけでなく、話し合いがつかないからといって改めて訴訟を起こさなければならないのは調停申立人にとって何とも酷であるといえましょう。このような場合、家庭裁判所は今までの調停の経過を踏まえた上で「調停に代わる審判」(二四条審判ともいわれています)という一種の判例することがあります。これが審判によって離婚する方法です。
 この離婚の審判は、当事者が二週間以内に異議を申立てると(異議には理由は不要です)効力を失います。このように効力が弱いため、実際にこの審判がなされる例は少ないようです。しかし、相手方が審判に異議を申立てる例はほとんどないので、一応、この審判を求めてみることも一つの方法といえます。
 協議離婚もできず、また調停離婚、審判離婚もできないときには、地方裁判所に離婚を求める訴訟を起こし、判決によって離婚するしか方法がありません。これを判決離婚といいますが、判決離婚は離婚全体の約一%にすぎません。
 離婚訴訟を起こすには、地方裁判所に訴状を提出しなければなりません。この訴状には、離婚を求めること、親権者を定めてもらいたいこと、また、法律が定めている離婚原因があることなどを書く必要があります。財産分与や慰謝料を求めたいときはそれも記載します。

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