結婚の成立

 私には結婚を約束した男性がいます。ただ、その男性は私より二つ齢下でまだ一八歳です。結婚には年齢に関する規定が設けられているとききますが、それはどのようなものなのか、また、それ以外の問題についてはどのようなものがあるのでしょうか。

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 法律上結婚が成立するためには、結婚をするという相互の意思と、法律で定められた形式的要件とが揃えば認められます。形式的要件とは、結婚式を挙げるなどという慣習的な形式ではなく、婚姻届の提出という絶対的な形式をいいます。
 このように、二つの要件が揃えば結婚は認められることになります。ただし、次にあげる四つの項目については、社会秩序を維持するためにも絶対に守らなければなりません。それらを以下で説明していくことにしましょう。
 1. 結婚できる年齢に達していること
 民法七三一条は「男は満一八歳、女は満一六歳にならなければ婚姻をすることができない」と規定しています。しかし、この規約に反した婚姻の届出が誤って受付けられた場合は、この婚姻は有効に成立することになります。
 このような不適齢者の婚姻は後で取消すことができますが、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することはできません。ただし不適齢者は、適齢に達した後なお三ヵ月間は、その婚姻の取消しを請求することができます(民法七四五条一項、二項)。
 なお、適齢に達した後に追認していたような場合は、この限りでありません。
 2. 重婚でないこと
 配偶者のある者は、重ねて結婚することが禁止されています(民法七三二条)。一夫一婦制の婚約形態が確立されているわが国では当然のことといえます。
 それでは、失踪宣告を受け死亡したものとされた配偶者が戻ってきたが、もう一方の配偶者はすでに再婚していたような場合、この者は重婚状態にあるといえるでしょうか。
 このような場合、再婚した両者とも宣告が事実に反することを知らなければ(善意ならば)、宣告が取消されても旧婚は復活しないとするのが近時の多数説であり、戸籍実務においてもそのように取り扱われています。
 3. 女性の再婚は離婚後六ヵ月たってから
 女性が再婚するための条件としては、まず夫との婚姻が解消(死別・離婚)または取消されていなければなりません。次に、その解消または取消しの日から六ヵ月経過していることが必要です。
 この規定は、再婚した女性が妊娠した場合、その子が前夫の子か現在の夫の子か判断がつかなくならないための配慮から設けられたものです。
 なお、待婚期間の始まりは別居のときからでなく、離婚届の提出が目安となります。また、最初から妊娠の事実が判明しているような場合には、その子を産んだ日から再婚することができます。
 4. 近親婚でないこと
 民法は直系血族、または三親等までの傍系血族の間でなされる婚姻を禁止しています(民法七三四条)。つまり父と娘、母と息子、おじとめい、おばとおい、兄と妹、姉と弟などの間でなされる婚姻がこの禁止条項に該当するわけです。
 禁止する根拠としては、優生学上の理由に基づくとするものがもっとも強く、同時に倫理・道徳的な立場から認めないとする考えも有力です。
 ちなみに、養父母の実子とその養子は兄弟姉妹と同じ関係にありますが、この間でなされる婚姻は許されています。しかし、養父母及びモの両親と、養子及びその子孫との間では結婚することができません(民法七三四、七三六条)。
 民法七三五条は、直系姻族の間でなされる結婚を禁止しています。婚姻とは、配偶者の血族との間の親族関係をいいます。
 妻と死別・離婚したからといって、妻の母や娘と婚姻することは許されません。また、継父や継母と子の間の婚姻も同様に認められません。
 ただし、傍系の姻族間における結婚、つまり、配偶者との離婚、死別後における妻の姉妹ないしは夫の兄弟との婚姻は、逆縁婚・順縁婚などといって、世間でもまま見られるように認められています。
 養親と養子が離縁によって親子関係を清算したとしましょう。このような場合でも、親子関係にあった者が夫婦関係を結ぶことは好ましくないとする立場から、両者間でなされる婚姻は禁止されています(民法七三六条)。
 また、養子の死後、養父が養子の妻と婚姻しようとするような場合も、この原則にのっとって認められません。
 なお、縁組前に生まれた養子の子と養親の間には親族関係がないわけですから、この両者間でなされる婚姻には何ら支障がないといえるでしょう。
 未成年者の結婚は、民法で規定されている「婚姻年齢」を見てもわかるように、別に許されないことではありません。ただし、父母の同意が必要である、という但書が付きます。父母のどちらかが同意しない、行方不同である、死亡している。などの場合は、他の一方の同意があれば結婚は認められます(民法七三七条)。この規定は、未成年者の不十分な思慮判断を保佐するため設けられているわけですが、「父母の同意しない権利」についてはいくつか批判がないわけではありません。
 なお、父母の同意を確認するために、婚姻届書には同意を証明する書面を添付する必要があります(戸籍法三八条)。
 婚約は社会によって正当であると認められた男女の結合です、これを保護することによって国家は社会の秩序を守ろうとすることから「婚約の成立のための要件」を定め、また「婚姻の無効」「婚姻の取消し」をきわめて限定して認めているのです。
 婚姻が認められるためには、相互の「結婚をする」という意思と、婚姻届の届出があればよいということは、以上でも述べたとおりです。しかし、婚姻届は委託でも郵送でも認められることから、当事者間に婚姻をするという意思がない場合でも簡単に受理されてしまうおそれがあります。
 また「婚姻の成立」の項で述べた規定に反した婚姻、あるいは詐欺・強迫による婚姻も十分考えられることから、民法は婚姻における「無効」「取消し」の条項を以下で述べるとおりに明記しています。
 1. 婚姻が無効な場合
 民法七四二条は、人違い、その他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないにもかかわらず婚姻の届出が認められたとき、あるいは当事者が婚姻の届出をしないときの場合に限り、婚姻を無効としています。これらのことについて、いくつか具体的なケースを想足して考えていくことにしましょう。
 知らぬ間に婚姻届が出された。何度もいうように、婚姻は当事者間に結婚をするという意思がなければ無効となります。このため、結婚する意思のない相手から知らぬ間に婚姻届が出され、戸籍上「夫婦」の記載がなされても、このような婚姻は無効で、認められることはありません。
 ただし、婚姻の無効を主張するものはある一定の手続きをふまなければなりません。
 「婚姻無効の訴え」まず、婚姻無効の調停を家庭裁判所に申立てます。調停がまとまれば、合意に相当する審判によって「婚姻無効」の是非が判断され、審判に対して異議の申立てがなければ、この審判は確定した判決と同一の効力を有することになります。
 調停が成立しないときは、民事訴訟手続法にしたがって「婚姻無効」の訴えを地方裁判所に起こさなければなりません。
 内縁の妻が勝手に婚姻の届を出す。内縁とは、婚姻意志をもって共同生活を営み、社会的・習俗的には夫婦と認められる実質を有しながら、婚姻の届出をしないため、法律上の夫婦と認められない男女の関係をいいます。それでは、このような関係にある者の一方が独断で婚姻届を提出した場合、この婚姻は成立するのでしょうか。
 内縁関係にある男女の「届出をしない」というはっきりした合意のある場合以外は、このようなケースでの婚姻は有効に成立すると考えられます。判例においても「内縁関係にある者は、事実上、婚姻意思を有している」との判断に立ち、例であげたようなケースでの婚姻を認めているものがあります。
 「婚姻届不受理申出書」自分の意思に反した婚姻届が出されるおそれがあるときは、本籍地の役場に「婚姻届不受理申出書」を提出します。これによって、六ヵ月間は婚姻届の受理が停止されます(戸籍通達)。
 なお、自分だけの意思で勝手に婚姻届を出した者の罰則ですが、公正証書原本不実記載、有印私文書偽造、同行使など、刑法上の責任が問われることになります。
 2. 婚姻が取消される場合
 適齢に達しない者の結婚、重婚、女性の再婚禁止期間内の再婚、近親婚、そして詐欺または強迫による結婚の場合に限り、法律は「婚姻の取消し」を認めています。
 取消しを請求できる者の範囲としては、婚姻の当事者、当事者の親族、そして検察官が定められています。ちなみに重婚の場合では、重婚状態にいる当事者、そして後の婚姻の配偶者、前の婚姻の配偶者からも取消しを請求することができます。
 詐欺・強迫による婚姻については、民法七四七条にしたがって、その婚姻の取消しを裁判所に請求することができます。しかし、詐欺の発見、あるいは強迫をまぬがれた後三ヵ月以上を経過した場合は、その結婚を取消すことはできません。
 婚姻は、婚姻届が受理された時点で成立します。ただし、一定の様式が決まっており、これにそわない婚姻届は受理してもらうことができません。
 届出用紙は市町村役場、あるいは区役所でもらうことができます。これに氏名、住所、本籍、婚姻後の夫婦の姓などを記入し、婚姻する二人が自分の名前を記入し、さらに証人(成人であることが必要)二名が署名・押印します。届出はどの役場でもかまわないのですが、場所により届出書の枚数と戸籍騰本の提出の要不要が違ってきます。一般には夫または妻の本籍地、あるいは居住区の町村役場・区役所です。
 なお、届出書の提出については、必ずしも本人が出頭する必要はありません。前でも述べたように、郵送ないしは他人に提出を委託してもその効力に変わりはありません。
 婚姻届の届出は、一般的には書面によるものが多いものです。もっとも、それ以外の方法がないわけではありません。当事者と証人が揃ってさえいれば、市町村役場・区役所に出頭し、口頭で述べてもかまいません。ただ、婚姻する者に代わる者、すなわち代理人による方法は認められていないので注意が必要です。
 ちなみに、本人以外による届出の署名は、好ましくないとされているものの、判例においては、当事者に婚姻の意思がある限り有効である、として認めているものがあります(大審院判決・昭和6・7・17)。
 民法七四〇条は、その婚姻が「成立要件」に違反していないことを認めた後でなければ、これを受理することができないと定めています。これを審査する者は、原則として市町村長及び区長です。
 ただ、実際にはその内容に立ち入ってまで実質的な審査がされることはなく、このため「婚姻の無効」「婚姻の取消し」で指摘したような問題が発生してくるわけです。
 日本人が外国人と結婚するケースが最近多いようです。この場合の婚姻手続、あるいは戸籍上の問題について以下で説明していくことにしましょう。
 日本人が外国人と結婚する場合の婚姻手続は、その国(婚姻挙行地)の法律にしたがって行われます。外国で手続がなされたときは婚姻証明書を発行してもらい、これを添えてその国に駐在する日本の大使、公使又は領事に婚姻届を提出するか、本籍地の役場に婚姻届を送付します。
 また、日本での婚姻手続がされるときは、配偶者となる外国人は、本国法で違法な婚姻にあたらないことを証明する書類を添付しなければなりません。このため、一般にはその外国人の属する駐日代表機関が発行する婚姻要件具備証明書を添付して、婚姻届を役場に届出ることになります。
 日本人同士が外国で挙式 日本人同士が外国で婚姻しようとする場合も、原則としてその国(婚姻挙行地)の法律に従った方式によって行われなければなりません。しかし、日本人同士の婚姻に限っては、その国に駐在する大使、公使または領事にその届出をすることができますこ なお、本籍地役場に直接婚姻届を郵送しても認められます。ただし、この際の婚姻挙行地は日本ということになります。
 外国人と結婚したからといって、国籍が変わるわけではありません。配偶者の属する国の国籍を取得する場合は、その国の法律にしたがってしかるべき帰化の許可手続を経なければなりません。日本人と婚姻した外国人についても、そのことによって日本国籍を取得することはありません。外国人が日本に帰化する場合は、国籍法に定める条件を備えていることが必要とされます。

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