テーブルスピーチ

 友人、知人の披露宴に出席するということは、祝ってあげるという気持ちが十分あるわけですから、列席者のだれもがお祝いのことばを述べられるはずです。しかし、時間などの都合上、全員がスピーチするわけにもいかないため、あらかじめ、それぞれの関係の中での代表者がお祝いのことばを述べるという形をとるのが普通です。
 スピーチを頼まれたら、まずどういう立場で話すのかを確認します。友人か、同僚か、あるいは趣味の同好会の仲間としてかなど、ほかの人とダブってはいけませんから、そのへんをはっきりしておいたほうが話の焦点をしぼりやすいのです。
 さらに、ほかにどんな人が話をするのかも参考までに聞いておきましょう。そうすれば、おのずから、自分でなければいえない事柄がきまってくるはずです。

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 スピーチの内容ですが、長さは三分前後にまとめること。そして、盛り込む要素として、まず主題は何にするかをきめます。学生時代の友人としてぜひともいいたいことは何かとか、同僚だからこそいえることは、といった本人の人柄を示す事柄です。平凡な人だから何もいうことがない、と考えずに、平凡なら平凡でそれが特徴のはずですし、気が強いなら、しっかり者で自分の考えがはっきりしているとか、おとなしいけれど芯は強いとか、何かあるはずです。
 主題がきまったら、次はその話の展開のしかたです。できれば、その人の人柄をあらわす象徴的なエピソードがあればいちばん話しやすいでしょう。そして、あれこれとテーマをいくつも入れないで一つにしぼることです。話の展開は、
 (1) あいさつ 「新郎新婦、おめでとうございます」といった祝いのことば。
 (2) 自己紹介 「私は新婦と同期入社の○○です」新婦との関係を披露。
 (3) 主題本人の人柄をあらわすエピソード。
 (4) 結び 新郎新婦へのことはなど。
 (5) あいさつ 「本日はまことにおめでとうございます」
 といったぐあいにして、主題に全体の三分の二以上の時間を費やしていいでしょう。
 同期の友人のスピーチ例
「○○さん、●●さん、本日はまことにおめでとうございます。
 私は○○さんと同じ職場で働いております□□でございます。○○さんと私は同期の入社で、しかも同じ営業部に所属しておりますので、何かにつけてお互いに相談したり、助け合ったりしてまいりました。それなのに、彼女にはいつの間にか●●さんというすてきな男性があらわれて、彼女の心をとりこにしてしまったのです。一人おいてきぼりをくった私は寂しくてしようがないのですが、これも、彼女と私の人間性の差かと今ではあきらめております。
 というのも、○○さんという女性は、一度知ったらだれでも彼女の人柄のやさしさにひかれ、夢中になってしまうような人だからです。私もその一人で、はじめは、学生時代、バスケットボール部のキャプテンだったというスポーツウーマンの彼女のこと、積極的でどちらかというと男性的、行動的な人柄と思っていたのです。ところが、ある夏休みのこと、グループで信州の山へ出かけました。現在のように便利な時代のことですから、私は食料はなんでも現地で買えるものと思っていたのですが、いざ山にはいると売店などあまりないうえ、あってもとても高いのです。そのとき○○さんは、リックサックの中から、カンづめをはじめ、パンやらくだもの、野菜まで出して私たちに配ってくださいました。しかも紙コップやらおしぼりやらもういたれりつくせりなのです。私たちは○○さんのこの心づかい、そして重い荷物を黙って一人で背負ってきたその思いやりに感謝感激したものです。
 ○○さんの行動力、積極性は、こうしたこまかく暖かい心づかいのうえに成り立っていることをはじめて知り、私はほんとうにいい友だちを持ったものだとうれしく思いました。
 ご新郎の●●さんも、たぶん、そうした○○さんの行き届いた心づかい、大きな人間性にひかれたのだろうと思います。それは、家庭においても最もたいせつなものではないでしょうか。どうか、今後とも、そのゆたかな心、思いやりをもととして、おふたりの幸せなご家庭を築き上げていってください。そして、あとから行く私にいいお手本を示してくださいませ。
 きょうはおめでとうございます。
 スピーチをするときは、メーンテーブルに向いて立ち、姿勢を正しくして、両手を体の前で軽く組むといいでしょう。はじめのあいさつの部分はメーンテーブルの新郎新婦のほうを向いてします。話の主題になったら会場全体に視線をゆっくり移動させながら話します。そして最後の締めくくりはまたメーンテーブルに向かいます。
 話し方はゆっくりと、ことばをはっきり発音し、区切りをきちっとつけるとメリハリがつき盛り上がります。途中つかえてもあわてずに、とにかく心からこれを話したい、新婦のためにぜひ伝えたい、という気持ちがあれば、トツトツとした話し方でも会場にアピールするものです。形式的なきれいごとの話よりどれだけいいかわかりません。したがって、原稿はなるべく待たず、どうしても心配なら、要点だけ書いた小さいメモだけ待っていましょう。
 中には、歌を歌ってかんべんしてもらうという人もいますが、やはり、スピーチをと頼まれたらそれにこたえるのが祝い心だと思います。また、ユーモラスにしようと脱線しすぎたり、聞くに耐えないような下品なことばづかいや内容を披露するのはゆきすぎです。切れる、別れる、死ぬなどの忌みことばにも注意します。特に双方の両親や親族はどんな話をするか、とても期待しているものです。相手の両親に対しても、こんなすてきなお嫁さんですよ、ということを伝えてあげるのが友人の役目かもしれません。
 披露宴の会場には年齢も職業も違うさまざまな人間がいるのだということを心得て、より多くの人に共感をよぶ内容、話し方を心がけましょう。

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