お金のマナー

 人と人とのおつきあいには、お金のやりとりがつきものです。お金は、重宝なものである半面、一度まちがえると人の不和を招く、やっかいな存在でもあります。それだけに、お金のやりとりのマナーを知ることは、おつきあいには欠かせない、要点を押えることになります。
 一般に、商取り引き以外の現金を人に渡すときには、紙に包むのが、昔からの日本の風習となっています。
 目上の人が目下に心づけとして現金を出すときにも、そのままでなく、紙に包んで渡してきたのです。今日でも、紙に包まずに渡す際に「むき出しで失礼ですが」とあいさつしているのを、あなたも聞いたことがあるでしょう。この金包みのしきたりには、昔の人の心、人間関係を保つ知恵がこめられているのです。

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 お金を包む紙は、普通、奉書紙、半紙などを用います。普通のお祝いは一枚、結婚祝いには二枚あわせて使うのが慣例になっていますが、近ごろは、水引きの色と結び方だけで区別することが多いようです。
 ていねいに扱う場合は、半紙で中包みをしてから、もう一度奉書で包み、水引きをかけます。
 奉書を型どおりたたみ、水引きをかけ、中袋も添えて、名前を入れればすぐまにあう金包みも市販されていますが、お金を紙で包むことは、昔から日本人ならだれでもしてきたこと、少しもむずかしいことではありません。
 慶事の金包みは紙を二つに折り、輪を左において、左、右とたたみ、右前に三つに折ります。つづいて上下をうしろ側に折ります。裏返して、下の折り返しが上向きになっていれば、慶事の金包みのでき上がりです。
 弔事の金包みは、紙を二つに折り、輪を右において、右、左とたたみ、左前に三つに折ります。つづいて下を先にうしろに折り、つづいて上をうしろ側に折ります。裏返して、上の折り返しが下向きになっていれば、弔事の金包みのでき上がりです。
 慶事、弔事とも、お金は、紙に折り目をつけてから入れると包みよいものです。
 水引きは、細いこよりに水糊を引いて干し固めたもので、五本あわせた一組が一本となっています。さまざまな色があって、慶事用には、紅白、金銀など、弔事用には、黒白、青白、白などを用います。いずれも濃い色を向かって右に、白、銀を左にします。
 装飾的な結び方がいろいろ伝えられていますが、結びきりと蝶結びの二つを覚えれば、どんな場合でも通用します。
 結びきりは、結婚、弔事、事故見舞いなど二度繰り返したくない場合、蝶結びは、何度あってもよい場合の結び方です。
 金包みには、お金を贈る趣旨と贈り手の姓名を書きます。これを表書きと呼んでいます。上段中央に贈る趣旨、たとえば「御祝」と書き、下段中央に贈り手の姓名または団体名を書きます。
 先方の名前を書く場合は、左上に「○○様」というように書きます。
 何人かで贈るとき、名前を書く順序は、目上から順に、右から左へ書き連ねます。
 先方の名前を書いたときには、そのあて名に近い側、つまり左側に目上の名を書くのがしきたりです。
 目上を左側にすると、目下は右になるわけですが、これを現在では、まっ先にいちばん下の人の名がくるからと気にして、あて名があっても目上を右に書くことも行なわれています。
 お金は、品物以上に、贈るときに気をつかう必要があります。お金に託して心を贈るということを念頭において、先方が気分よく受けとれるようにとり運びましょう。
 金包みを折り目正しくさしあげるときは、直接渡さずに、お盆にのせ、ふくさをかけて持参し、このままさし出すのがしきたりとなっています。
 お盆やふくさを略す場合でも、特に目上のかたにさしあげる際は、手渡しせずに、机の上などにおいて、「会員一同からのお祝いでございます」などと、あいさつするのが礼儀です。
 目上、目下に限らず、金包みは、相手が受けとりやすいように、なるべく人前を避け、一対一のときを選んで贈ります。相手に遠慮させないように、「私の気持ちです」「どうぞおおさめください」などとことばを添えて、タイミングよく渡しましょう。
 心づけは、お金の受け渡しを意識させないように、さりげなく渡します。どんな場合でも、むき出しのままでなく、懐紙やちり紙ででも包むのが、日本の昔からの習慣です。
 親しい人からいただくときでも、姿勢を正し、改まった態度で、「ありがとうございます。ちょうだいいたします」「ありかたくちょうだいいたします」などと、丁重にあいさつを述べて、両手で受けます。
 金包みを間に、いただけない、いや、そういわずに受けとって、などと押し問答する光景を見かけることがありますが、必要以上の遠慮は、気まずい思いをさせるだけ、せっかくの好意はすなおに受けるべきでしょう。
 奉書で包み、水引きをかけてお金を贈るのは、改まった場合の、折り目正しい贈り方ですから、ときには、それではぎょうぎょうしい、もっと気軽に贈りたいということがあります。このような場合、のしや水引きを印刷した金包みや、のし袋を買ってきて使うことが一般に行なわれていますが、それよりも、白い封筒のほうがふさわしいのではないでしょうか。
 たとえば、病気のお見舞いに、好物のメロンを贈ろうと考えて、もし、ほかの人からのメロンと重なってはと思ったとしたら、お金を白い封筒に入れて、「メロン」と表書きし、「メロンを買おうと思いましたが、あるといけないと思いましたので、今あるのがなくなったときに、これで買ってください」などとあいさつして、お渡しするわけです。
 カードに「早くなおりますように」などと書いて、お金といっしょに封筒に入れるのも心が通う、お金の贈り方です。
 また、親しい先輩の出産見舞いというような場合なら、「はじめてママになられたお喜びに対して、経験のない私はどうしてよいかわかりませんので、これでお好きなおいしいものでも買ってください」「すてきなママでいられるように、すてきなブラウスをお贈りします」などと手作りのカードに書いて、これも手作りの封筒にお金とともに入れ、「出産お見舞い」と表書きして贈るのも、親しみぶかい感じで喜ばれるでしょう。
 一般的に、お返しにお金を贈るのは、先方の心をお金に換算したことになり、アンチマナーです。心には心でお返ししなければなりません。特に、現金をいただいて、そのお返しを現金ですること、たとえば、お祝いにいただいた一万円のお返しに、五千円の金包みを贈るのは、最低のアンチマナー。結納金は、半返しといってお金を返しますが、これは特例中の特例です。
 なお、お金を贈りにくいときには、商品券のほか、図書券を利用するのもよい方法です。

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