訪問の際の履物やコートの扱い

 人のお宅を訪問する時にも、衣服同様に気を配らなくてはならないのが、履物です。玄関に脱いだ履物が、もしも泥や埃で汚れていたら、先方では、どう思われるでしょう。逆によく手入れされた清潔な履物であったら、きっとあなたをスマートに印象づけてくれることでしょう。目的のお宅に近づいたら、もう一度、足もとを確かめるぐらいの心がけが必要です。

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 取次ぎの方、または主人から「どうぞ、お上がりください」とすすめられたら、「失礼致します」と軽く会釈して、履物を脱いで上がります。履物は靴脱ぎの中央を避け、少し脇から上がります。
 履物を脱ぐ時、はじめから後ろ向きに脱いで上がる方をよく見かけますが、それは主人に対してお尻を向けることになり失礼にあたります。正しくは、そのまま前向きに上がり、上がってからひざを斜について、はき物の向きをかえ、なるべく端の方に置きます。ふたり以上で訪問した場合は、目上の人のはきものを靴脱ぎの中央から順に並べます。
 しかし、敷台が低い場合には「失礼しますごといってうしろ向きに靴をぬぐことも差支えありません。
 なお、人を訪問する時、その方とよほど親しい間柄でない限り、真夏でも、ノースリーブや素足にサンダルばきは失礼ですから注意してください。また冬の長いブーツも脱いだり履いたりに時間がかかり、出入りに先方の方をお待たせすることになり、考えものです。
 玄関の前に立ったら、コート、マフラー、手袋などをとって手に持ちます。しかし、玄関の構造や雨の日、荷物のあるときなど、玄関の外でコートを脱ぎにくい場合は、玄関に入ってから脱いでもよいでしょう。夏場なら汗を拭き身づくろいを手早く済ませ、呼び鈴を押します。呼び鈴は、一、二秒押し、返事がなければ、もう一度押します。長い間押し続けたり、何度も押すのは催促がましく失礼です。呼び鈴がない場合は声をかけますが、玄関の鍵があいていれば、入って「ごめんください」といってもよいでしょう。
 玄関での挨拶がすみ、上がるようにすすめられたら、コートや用のない荷物は玄関の隅に置き、ハンドバック、手みやげなど最小限の荷物だけ持って部屋に上ります。その際、玄関にコートかけがあれば、そこにかけます。また、取次ぎの方が受取ってくださったら、遠慮なく渡して、預かっていただきましょう。
 なお、玄関先ですぐ失礼するような訪問であれば、帽子、手袋、マフラーなどは取りますが、コートは着たままでかまいません。その時は「着たままで失礼させて頂きます」とお断りします。
 雨の日の訪問の際は、足もとがぬれるので、女性は靴カバーや足袋の予備を、男性はハンカチを多めに持つとよいでしょう。
 ぬれた傘やコートは、傘立てやコート掛けがあれば掛け、ない場合は勝手に置かずに、どこに置いたらよいか聞きます。靴をぬいだら、ハンカチで足もとをふくか、用意の替えとはき替えます。
 帰り際に雨が降っていて、雨具の用意がなくて傘などを借りたときは、よく乾かして、なるべく早く返しに行きます。
 辞去する際には、すすめられたらコートは玄関で着てよく、着せかけてもらったら、「ありがとうございます」とお礼を言います。なお、ショールや帽子、手袋などは、玄関を出てからつけます。
 靴をはく場合は、背を主人の方に向けないように、体の向きをかえてはきます。男性の場合は、靴ベラを使ってはくようにします。
 客間へ案内される場合は案内者のあとに従うのが礼儀で、勝手を知った家でも、案内者より先に立たないようにします。同伴者がある場合は、自分が先に立ち、同伴者があとについて、案内者に従います。ふたり並んで歩くのは、正しい作法ではありません。

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