訪問時の心得

 よその家を訪問する場合は、あらかじめ先方に電話か手紙で、訪問の目的を知らせ、都合を聞いてから日時を決めます。
 日時を決めるときは、できるだけ先方の都合に合わせるようにします。もし、相手がいつでもよいといった場合や、こちらの都合を聞いた場合は、「何日の何時ごろではいかがでしょうか」と日時の約束をします。
 訪問する時刻は、できれば、朝早くや夜おそく、あるいは食事時間などはさけ、午前中なら十時すぎから、午後の場合は二時から三時前後にするようにします。
 いずれにしても、時間を決めたら約束した時間までには先方に着くようにします。もし、なにかの都合でおくれそうなときは、途中ででも先方に電話をいれておくのが礼儀です。
 また、早すぎた場合はどこかで時間をつかい、時間の調整をしてから訪問するようにします。先方の家にとっては、早過ぎるのは遅刻以上に迷惑なもので、定刻五分前よりは、むしろ五分後のほうが礼にかなっています。

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 突然の用事などで約束した時間にどうしても行けないときや、日時を変更したいときは、できるだけ早く先方に連絡し、丁重にお詫びをします。そして改めて次の約束をしますが、このときは相手の都合に合わせるようにするのが礼儀でしょう。
 訪問の目的によってまちまちとなりますが、用事で訪問した場合は、まず目的の用件をすませます。用件が終わってから雑談をするにしても長居はせずに帰るようにしましょう。先方にしても訪ねてきた人が雑談ばかりで、かんじんな用件をなかなか切り出さないのでは困りますし、忙しい相手の場合には来客などで目的の用件を達せず、あらためて出直しということにもなりかねません。
 お茶や食事などに招かれた場合は、どうしても滞在する時開か長くなりがちですが、引きとめられたからといってずるずる腰を落ち着けて長居することは慎むべきで、ころあいをみて帰るようにします。
 はじめから三十分とか一時間とか約束してある場合は、その時間内で帰るのが礼儀です。
 よほどの急用ができたとか、届けものをするとか予告なしで突然に訪問しなければならないときは、玄関先で用件だけを伝え、すぐに帰るようにします。
 相手が留守のときは、上がって持たせてもらうようなことはせず、来訪の目的や名前を家人や取次の人に託します。また、家が留守の場合は、用件をメモにしてポストに入れて帰るようにします。
 仕事上の訪問や、用事による訪問の場合には、とくに手土産の必要はありません。しかし遊びでする訪問や、初めての訪問などには雰囲気作りの役割など果してくれますので、適当な手土産を持参するのもよいでしょう。この場合は金額の大きいものや形式的なものはさけ、こちらの心のこもったもので、相手の気持ちの負担にならないように気をつけます。
 品物としてはお菓子類や果物、花などが一般的ですが、親しい間柄なら自家製のお菓子とか、手作りの花、あるいは郷里から届いた名物などを持参したり、旅行先からのお土産を持って行くのもよいでしょう。ただ、この場合に気を付けたいのは、手土産にするものは贈り先の近くの店では買わないことです。いかにも間に合わせですましたようで感心できません。
 小さい子どもを連れての訪問は、儀礼的な場所や子どものいない家の場合はさけるべきです。やむをえず同行するときは、前もって相手に伝えて了承を得ておきます。
 子どもは飽きっぽいので、訪問先で退屈しないように、気に入ったおもちゃや絵本などを持って行くようにします。また昼寝の時間を見はからって連れて行き、話のすむまで寝かせておくのもよいでしょう。いずれにしても子どもを連れての訪問の場合にはあまり長居はしないようにします。
 反面、子どもづれの訪問は、ある程度分別がつく年ごろであれば子どもをしつけるちょうどよい機会なので、適度に利用するようにするとよいでしょう。
 就任、転任、昇進の挨拶や、仲人、上司、先輩のお宅を訪問する場合、つまり改まった場合には、背広の三つぞろいが正式ですが、最近では、チョッキは着なくてもよいとされるようになりました。
 身だしなみとしては、着装前に、ひげをそり、整髪し、爪を切って清潔にします。背広にはブラシをかけ、必要があればアイロンもかけます。下着類、ワイシャツ、靴下、靴など清潔にし、ネクタイもきちんとしめてください。訪問先の玄関では、上着のボタンを忘れずにかけます。
 お中元、お歳暮の挨拶や、ご機嫌伺いなどで、仲人、上司、先輩などのお宅を訪問する場合の服装は、目的とつき合いの程度によって異りますが、和服の場合は、ミセスなら付下げか色無地一つ紋、ミスなら小紋程度でよいでしよう。
 洋装で、改まった挨拶、ご機嫌伺いなどで、目上の方のお宅を訪問する場合は、ドレッシーなスーツ、アンサンブル、ワンピースドレスなど、シンプルなデザインで、調和のとれた服装に心がけてください。
 身だしなみについては、とくに夏季は肌をあらわす服を着ることがありますから、肌、髪型を清潔にし、無駄毛の処理もしてください。なお、下着類、靴の汚れや靴下の破れたものは目立ちますし、訪問先に失礼になりますから、気をつけてください。
 不祝儀の席に出る場合は、厚化粧はさけます。またイヤリング、ブローチ、ネックレスなどの装身具はつけません。
 不意の訪問はもちろん、約束してある場合でも、訪問先に近づいたら、衣服を整え、靴の汚れなど足もとを確かめてください。玄関前で、ひと息ついてから、ブザーを押して、案内を求めます。
 玄関先で用件をすませる場合は、寒い冬の日でも男性の帽子、手袋、マフラー、または女性ではショールなどを取って、手に持って玄関に入ります。コートは着たままでもよいのですが、その場合は、「着たままで失礼いたしますごと一言詫びたほうが、先方によい印象を与えます。用件は手短かにすませましょう。特に冬季の訪問は、できるだけ早く辞すべきでしょう。また、約束なしで訪ねた場合は、先方から「さあどうぞ、おあがりくださいごといわれるまでは、コートを脱がない方がよいでしょう。
 ただし、新年の挨拶など改まった場合や、祝いごとの口上をのべる場合には、玄関先ですませるにしても、コートは脱いでから、挨拶をします。

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