弔問の仕方

 近親者や友人の場合、できるだけ早くお悔みにかけつけるのがエチケットです。
 喪家に入って遺族に会ったら「このたびはまことに思いがけないことで。」とか、「このたびはまことにおいたわしいことで(ご愁傷さまで)ございます。」などというように悔みをのべます。けっして雄弁になる必要はありません。悲しみが深ければ胸がつまって、言葉がでないのが普通ですから、絶句したら、絶句したままでよいのです。
 これに対し、遺族に「どうぞ会ってやってください」というようにいわれたら「では、一目。」というように受けて、遺体の間にいきます。遺体は、顔に白布をかけられて、寝かせられているのが普通ですから、遺体の顔から少しさがった位置にすわり、軽く両手を畳につけて一礼し、すこし頭をもたげて顔のあたりを注視します。そのとき、遺族が遺体の顔の白布をあごのほうから軽くあげてくれますから、二、三秒死顔を注視したうえで、深く頭を下げます。
 また、すでに納棺が終わっている場合は、作法どおり丁寧に礼拝して、線香をたてます。もし、遺族に「どうか一目会ってやってください」というようにいわれたら、静かに立って、遺族の導くままに祭壇の上の棺の頭の方へすすみより、遺族が棺のふたをあげてくれたら、両手を合わせたまま、深く頭を下げて拝みます。そのあと次の間に下がって、喪主やその他の遺族にも弔辞をのべ、「なにかお手伝いさせていただきたいのですが」というように申し出ます。

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 隣近所の親しい家に不幸があった場合にも、なるべく早くお悔みに出かけるようにします。そして、何か手伝いすることを申し出ます。特に、世話役や弔問客の接待などで、台所の手伝いは何人でも欲しいものですから、事情の許す限り、頼まれたら快く引き受けるようにします。
 普通の交際の場合、通夜と告別式に出席するだけにして、それ以外の時間はなるべく遠慮するようにします。遺族は悲しみが深いので、気心の知れた人以外にはなるべく会いたくないのが、ほんとうの気持だからです。
 遠方の親戚・知人の場合、通夜あるいは葬儀に間にあうように旅立ちますが、どうしても弔問の旅に出ることができない場合は、とりあえず弔電を打ち、そのあとから香典などを添えて弔問の手紙を出すようにします。
 遅れて不幸を知った場合、事情があって不幸を遅れて知った場合は、すぐにお悔みにうかがいます。告別式や葬式のすんだあとならば、祭壇、仏壇、お墓に香を手向けて冥福を祈り、遺族には、遅れたお詫びとお悔みのことばをのべ、このときに香典、供物などを供えます。
 神式葬の場合、玉串料とか榊料と呼ばれる、いわゆる仏式の香典にあたるものを持ってお悔みに行きます。玉串料の包み方は、香典の場合と同様です。文字は「御玉串料」「御榊料」などと書きます。また、「御霊前」なら、どの宗教にも使用できます。
 神式葬では、通夜祭でも、葬場祭でも祭式に参列するものは必ず手水の儀を行うことになっています。祭場の人口付近に、水を入れた桶とひしやくが用意されていますので、まず右手でひしやくを持ち、左手の指先にかけ、ついで左手に持ちかえて残りの水を右手の指先にかけます。終わったら、そなえつけの拭い紙で手をふきます。
 不幸のしらせでかけつけるときは、喪服を着る必要はありません。その時の状況にもよりますが、じみな服装なら、そのままでかまいません。女性の方は化粧がはででないように心掛けます。
 また、手伝いをするつもりで、働きやすい服装でおとずれることも必要でしょう。
 なお、このような弔問は、親戚とか、親しい友人に限られます。ふつうのつきあいなら、通夜の祭壇の準備も終わり、遺族が一段落したところを見計らってお悔みにうかがいます。
 通夜の場合、通夜の状況によりますが、ふつう通夜の弔問なら略式表装程度がふさわしいでしょう。男性ならダークスーツに黒ネクタイ、黒靴あるいは黒紋付の着物に黒紋付の羽織、はかま、白足袋でもよく、女性なら、じみな色無地紋つきのきものに黒い帯とか、じみな無地に近いきものに黒紋つきの羽織あるいは、じみな色のスーツやワンピースなどがよいでしょう。アクセサリーは控え、化粧もはでにならないようにします。当然靴やハンドバッグは黒にします。
 一般の弔間客の場合は、故人との親疎の度合に応じて、正式の喪服なり、准喪服を着け、都合によっては、地味な日常着に喪章をつけるだけでもかまいません。
 単なる知人関係といった程度の弔問は、玄関先でお悔みをのべて辞去するのが無難だと思います。取次ぎの人が出たら、わざわざ喪主を呼び出すまでもなく、その人に挨拶すればよいのです。しかし、すでに礼拝の準備が整っているのであれば、あがって霊前にお線香をあげさせてもらいます。この場合もすぐ辞去するのが礼儀です。
 故人との対面は、よほどの間柄でない限り、自分のほうから「拝ませてください」と言い出さないことです。遺族からすすめられたら「では一目」と受けて対面します。また、対面をすすめられても、気がすすまない場合には、「悲しさが増しますから遠慮させていただきます」などと言って辞退します。
 また、故人がどのようにして死を迎えたのか、生前親しかった者であるほど、知りたいのは人情でしょうが、遺族のほうから話し出したのであれば別ですが、葬儀、告別式の日は、死の経過を尋ねるのはなるべく避けるのが思いやりです。

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