結納の日の服装と結納後の供応

 結納は人生の儀式ですから、格式を重んじて礼装または略礼装するのが正式とされています。現在では結納の形式も簡素化されて行われる傾向にありますのであまり格式ばらないで、賂礼装程度がよさわしいでしょう。一番大切なことは、当日集まる人達がお互いの服装に調和をもたせることで、ひとりだけアンバランスな服装をるということがないようにしなければなりません。

<本人の場合>
 男性は、黒、紺、グレーなどのダークスーツに白いワイシャツ、略礼装にふさわしい品のよいネクタイがよいでしょう。女性は、和服なら色欲の少ない気品のある訪問着、付下げ、または無地一つ紋、洋装ならドレッシーなワンピース程度で色は黒、グレーをさけます。

<仲人の場合>
 男性は、黒またはダークスーツに白いワイシャツ、女性は無地一つ紋か付下げ程度にして、帯つきを正式とし羽織は着ないのがたてまえです。洋装ならドレッシーなシルクスーツ程度の賂礼装にします。

<本人の両親、身内の人の場合>
 本人同様やや改まった装いにしますが、本人や仲人以上の盛装にならないように気をつけなければなりません。

 いずれにしろ、本人、仲人、両親ともに、通常よりやや改まった装いをしてよろこびの意を表し、しかも威儀正しい装いをすればよいのです。この場合、先に述べたように全員の服装のバランスがとれているかどうかが、非常に大事なことですから、事前によく打合せをし同じ格調のものにしておくことが必要です。

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 めでたく結納の受け渡しが終わったら、使者や、使者である仲人に祝膳を出しますが、正式には、祝い酒と本膳料理を出してもてなすのがしきたりです。
 しかし、今はこのような丁寧な供応ははぶいて、簡単な食事でもてなすか、または茶菓を進めるだけにして、酒肴料としてお金を包み、菓子折にのせて差しあげるなどいたします。
 お茶は、縁起をかついで、昆布茶か桜湯を出し、お菓子は干菓子を出します。
 仲人への結納のお礼は、その日のうちにします。お骨折りいただいた仲人には結納当日、心からの感謝の言葉と共にお礼をいたします。使者としてお願いした場合、祝勝を出すのをやめて酒肴料としてさしあげる場合も、それとは別にお礼を包みます。あるいはお礼の中に酒肴料とお車代を含めての額を包んでもよろしいでしょう。仲人宅以外の場所で結納した場合も同様な心づかいが必要です。金包みの上書は「御礼」とかきます。
 結納のあと一週間以内に改めてお礼に伺うにしても、その日のうちか、翌日に電話でお礼の挨拶をすることが大切でしょう。
 結納や、結婚に関しては、使ってはいけない忌み言葉というものがあります。
 「切れる」「去る」「出る」「もどる」「帰る」「離れる」「返す」「あきる」「別れる」「破る」「きらう」「薄い」「あせる」「冷える」「浅い」「ふたたび」「病む」「ほろびる」「重ねる」「二度」「死ぬ」「なみだ」「流れる」「こわれる」「憂える」など、離婚とか夫婦仲の悪さ、家の衰退などを表す言葉をさけるというものです。
 結婚指輪は、金かプラチナ製の甲丸(かまぼこ型)であるのに対して、婚約指輪は、相手方の誕生石のはいった指輪を選びますが、これは、欧米から伝わってきた風習で、誕生石を身につけていると魔よけになり幸運を招くといわれているからです。
 しかし、日本では、誕生石にこだわらず、ダイヤモンド入りの指輪を贈ることが多いようです。指輪の台は、金かプラチナが多く、裏にイニシャルと婚約の年月日を刻みます。
 現在、世界で通用している誕生石は、一九一二年に米国宝石商組合大会で選定したもので、それまでは、どの宝石がどの月を象徴するかは、時代により、地方によってちがっていました。
 前にあげた結納の品をやめて、互いに記念品を贈りあって婚約のしるしとする人が多くなってきました。男性からは、婚約指輪が圧倒的に多く贈られます。この場合、女性からは贈り物をしなくてもよいのですが、最近は、婚約の記念にと、ネクタイ・ピン、カフスボタン、腕時計、シガレットケース、洋服などを贈ったりしますが、日ごろつねに身につけるもののほうがよいでしょう。品物をきめるときは、相手の望みを聞いて選んだほうが、相手の意にかなった良い記念としてよろこばれることになります。
 婚約記念品の贈り方については、婚約の誓としての儀式にはかわりないのですから、両親・仲人または親しい友人などの立ち合いのもとにとり行うことは、若い両人にとって大事なことです。たとえふたりだけで交換しあうにしても肉親・友人の誰かに証人になってもらうとか、婚約発表パーティーを開き、その席上で、皆の祝福を受けながら、交換しあうこともまた、婚約をいっそう確実なものとすることでしょう。
 婚約指輪を贈られたならばその場で、贈り主が、婚約者の左手の薬指にはめてあげるのがエチケットとされています。これは、他の人のいる前で行う場合、ふたりだけで行う場合も同じで、婚約指輪や結婚指輪を左手の薬指にはめる習慣は、この指が心臓につながっているという考えから生まれたものです。
 また、女性も贈り物が、身につけるものであれば、やはり、その場で男性につけてあげるのがよいでしょう。
 なお、婚約指輪は、結婚式当日は、右手の薬指に移しておいて、結婚指輪を左手の薬指にはめてもらい、式後、結婚指輪の上部に、婚約指輪を重ねてはめる習慣になっています。
 もし、婚約が解消されたときは、結納や婚約指輪はどうなるのでしょうか。
 結納とか婚約指輪の授受は、法律的なことばを用いれば、結婚を目的とした贈与(解除条件つき贈与)ということになります。
 したがって、その結婚が成立する前に解消された場合は、原則として、結納品や指輪はもとの所有者に返さなければならないことになります。
 もしその婚約解消が、双方の合意によるものでなくて贈られた側にその責任がある場合、結納品も指輪も返さなければなりませんが、反対に、贈った側の責任で婚約が解消されたという場合は、返還する必要はないと考えてよいでしょう。
 なお、婚約解消の責任が双方にある場合は、一部を返すか全部を返すか、その責任の度合いによって、判断されることになります。

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