結納金はどの程度か

 男性側からは、御帯料として、女性側からは御袴料として料(金)を包むのが結納金といわれているものです。
 家と家との結びつきを主にした結婚に対する考え方の時代には、結納金の額を家の格式とか花嫁の嫁入り支度の程度によって必要以上に金額を多くしたということもありましたが最近の傾向としては、虚栄にかたよった形式上のことを廃じて、もっと実質的に考える人が多くなりました。婚約が成立したことのしるしなのですから双方の経済的な事情に応じて、分相応に無理をしない程度の額にということになります。
 結納金の額は定まったものではないのですが、具体的にどの程度が適当かということになりますと、現在は男性の収入の額によって決めればよく、サラリーマンの家庭では月収の二〜三ヵ月位が一般的です。これは一つの標準であって、それ以下であっても差支えないことといえます。
 金額は端数はやめて、十万円、二十万円、三十万円、五十万円というようにきりのよい数にして、新しいお札を中包みに包み、金額を書いて更に上包みに入れ、水引をかけて「御帯料」と書きます。なお、金額を決める時、決定しかねる場合には大体の金額を予定し、仲人の方に相談する方法もあります。相手の家庭の事情や地方によっては風習も異なりますので、経験の豊富な仲人に適当な助言を頂くのもよいでしょう。

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 なお、これに対して女性の方から結納の返しをする習わしがあります。関東地方では「半返し」といって、男性からの結納金の半額を御袴料として返します。また、関西では、結納の際にはお返ししないで嫁入りの時、大体三分の一程度をおみやげとして持参する風習があります。
 最近は、結納金に婚約記念品を添えて贈るケースが多くなっています。女性には婚約指輪(エンゲージリング)とかネックレスなどを、男性には腕時計やネクタイピン、カフスー揃など、身につけて思い出の記念の品とすることが多いようですが、こうしたものを贈る場合は、結納金の一部を品物にして、残りを現金にすればよいでしょう。
 また、結納金をやめてその全額を婚約記念品にして贈るケースも増えています。
 こうした婚約記念品が加わる場合は、たとえ「返しなしの結納」というときでも、気持ちの問題として、半額程度の記念品をプレゼントするとよいでしょう。なお、記念品を贈るときは、小さいものなら結納台の金包みの左にのせておきますが、大きくてのらない場合は、別に白木盆にのせて、結納金の左側に並べます。もちろん小さいものでも別合にしてよく、指輪の台も市販のものがそろっています。これを使う場合は、白木盆の必要はなく、そのまま結納品の左に並べればよいでしょう。
 最近では、関東地方での「半返し」の風習も廃止または半返し分を差し引いた額を結納金とする傾向が多くなっています。本来の意味からすれば、結納の「半返し」は必要のないことです。男性側から女性の両親に結婚の申込みをする際、子女をここまではぐくみ育てた両親への感謝の気持を表すことの意味が含まれているのですから、それに対してお返しをすることは考えなくてもよいことと云えます。
 この結納金については、前もって仲人を通じてよく相談して金額をどのようにするか半返しについてもどうするかなども決めるようにします。
 以前は、男性側からの結納金の額によって女性側の嫁人支度の程度が決まるとされたものでしたが、現在ではそのようなことはありません。
 前にも述べたように、嫁入り当日、婿方の両親、兄弟姉妹のめいめいに土産物を持参し、今後のことをよろしくお願いするということは、現代においても大切なことです。金額は半分とか、三分の一とかにこだわらなくてもよいでしょう。
 このような結納の合理化は、双方の合意の上で前述の結納金をやめて婚約指輪、記念品という実質的なものに改められてゆく傾向にあります。意味のない風習は改めてゆくことが最良ですが、これは双方の話合いの上で、双方納得して実行すべきことですので、どちらか片方が従来のしきたりを重んじてという意向ならば、両方歩みよって将来にしこりを残さぬよう行うのがよいでしょう。
 結納をとり交わすおりに、結納品や結納金といっしょに「家族書」及び「親族書」を添えるのがしきたりになっています。「家族書」と「親族書」は、やがて親戚となる双方の家族関係や親族関係をよく知り、これからのつきあいを円滑にするうえで、大切なものとなります。
 「家族書」と「親族書」は、別々の紙に書いても両方一緒の紙に書いてもよく、人数が極端に少ないときは、「親族書」として、一枚の紙に書いてもよろしいのです。
 用紙は「親族書」用紙として、デパートなどの婚礼用品売り場に売っていますので、それを利用すればよいでしょう。市販のものを利用しない場合は、美濃紙一枚に、足りない時は二枚をつないで毛筆で書き、書き終りのほうから巻き、美濃紙二枚で上包みをして、親族書と書きます。墨は、結納の目録と同様うす墨は不吉とされていますから、できるだけ濃いものを使います。文字は楷書で書きます。行書、草書は失礼になると同時に、正確さを欠くおそれがありますので注意しましょう。書く順序は、その家の戸主を主にした書き方と、結婚をする本人を主にした書き方とがありますが、現今では本人を主にして書くことが多くなりました。
 一行目に「親族書」と書き、二行目から、尊属から順に、名前を書き、同姓の家族の場合は、筆頭者のみ、姓と名をしるし、あとは名前だけを書きます。姓名の上には「祖父」「父」「母」「妹」などと本人との続柄をしるし夫婦は並べて書き、姉と姉の夫(義兄)などの場合は姉を先に、つまり義理にあたる方をあとに書くのが正式です。何親等まで書くかは、仲人を通じて、双方が相談して決めますが、ふつう三親等のおじ、おばまで書きます。なお、現在のように社会生活が複雑になってきますと、住所の他にそれぞれ職業や電話番号なども書きそえることも、時代に応じたやり方でしょう。
 白木盆に、目録と親族書を一緒にのせて贈ります。
 まだ健康診断書を交換していない場合には、この機会に取り交わします。「健康診断書」は、やがて人生を共に過してゆくのに必要な条件の一つが健康であること、さらに結婚に支障のないからだであることのあかしとして、ぜひ交換したいものです。病院や保健所などで健康診断を受け、診断書は封筒に入れて「健康診断書」と表書きし、親族書に添えて取り交わします。

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